
2026年3月掲載された研究で、ポンペイとボスコアレの家の 2つのテラコッタの香炉の残留物の分析で香料の化学組成が初めて明らかにされた。ポンペイの工房で製作された香料には、地元の香木や葉の他にブドウ酒が含まれていた。 ボスコアレの別荘の納屋で発見された2つ目は、アフリカや中東から輸入された外来のブルセラ科樹脂(乳香や没薬に似た)の残留物で、現代の教会の匂いに匹敵するほど、豊かで「演劇的」な感覚体験を生み出していた。
左:ポンペイの香炉 右:ボスコアレの香炉 この発見は、ローマ帝国各地に高級品を流通させていた商業ネットワークの存在を確認し、同時に、ブドウ酒も利用されていたことから、ポンペイ人が地元の農業と神聖な儀式との深い関わりをもっていたことを明らかにしたのである、報告は主張している。
とはいえ、以前触れたことのあるポンペイ、IX.10.1(2024/1/7)で出土した祭壇がらみで、私はこうまとめていた。「なお祭壇の周りからは以前の献げ物の残骸も出てきて、ブドウの果実、魚、哺乳類の肉などが確認されたという。こうして文献史料からつい想像され勝ちなのだが、いつも高価な動物犠牲を奉献していたわけではない庶民層の日常的宗教慣習の具体例をおそらく初めて垣間見ることもできたわけである」。これは厳密にいうと香料の事例とはいえないものの、手近なものも献げ物にしていた、という点では共通といえるかもしれない。


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