月: 2020年6月

世界キリスト教情報第1536信:2020/6/29

= 目 次 =
▼「教会の彫像も見直す」とカンタベリー大主教
▼名誉教皇ベネディクト16世、兄への見舞い終えバチカンに戻る
▼米国長老教会、先住民出身の女性を共同議長に選出
▼韓国の宣教団体が北朝鮮に大型風船で聖書送る
▼韓国宣教団体が飛ばした“風船につけた聖書”が北朝鮮に到着
▼コインを口に入れた子どもの遺骨100体近くポーランドで発掘
▼アトランタで警官に射殺された黒人男性葬儀、キング牧師の娘も
 連帯表明

 下から2つめの記事は16世紀のこと:https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2020/06/16th-century-mass-grave-with-over-100.html

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史実の解明は年表作成から

 私も、時代の流れを把握するために古代ローマ史で年表や地図を作成して、全体状況を把握しようとすることがよくある。それでおもわぬ相互関連に気づかされることがあるからだ。現代、目の前で次々と状況が展開していくと目くらましされて、肝心のことを見逃したりする。個別的には知っているつもりでも、隠されたつながりに気づかないのである。情報の8割はマスコミで公開されていると言ったのは、佐藤優氏だったと記憶する。今日またそんな思いを新たにした。以下の時系列一覧は,伊東乾「「安倍さんの白い封筒」と「黒川延長」を結ぶ点と線:「この国の形」を守った賭けマージャン・チョンボ」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61101?page=4)からである。だからどうした、という反応もあるだろうが、私はやはり事実の羅列から因果関係を見る方に組してしまうのである。天網恢々疎にして漏らさず。天は実在して、悪事は必ず罰してほしいのだ。

2019年1月15日:河井克行容疑者、自民党総裁特別補佐として安倍首相と単独面会①

2月6日:田畑毅衆院議員に対する準強制性交容疑告発状提出

2月15日:田畑議員への準強制性交等の容疑が明るみに出、自由民主党離党

2月19日:参院広島選挙区で「2人目の自民候補」擁立(岸田政調会長・甘利選対委員長)。当初の予定候補は薬師寺道代参院議員(当時)

2月28日:克行容疑者、安倍首相と単独面会②

3月1日:田畑議員、衆院議員辞職。

3月2日:薬師寺候補は田畑前議員の後釜にシフト、河井案里擁立案。

3月13日:河井案里擁立決定。

3月20日:克行容疑者、安倍首相と単独面会③、案里容疑者、出馬表明。

4月15日:案里容疑者の参院選挙区第七支部に第1回資金提供1500万円➊

4月17日:克行容疑者、安倍首相と単独面会④

4月22日:「準強制性交」の田畑前議員、書類送検

4月27日:河井あんり選挙事務所、開設。ここで5月に繁政町議に「安倍さんから」封筒

5月20日:案里容疑者の参院選挙区第七支部に異例の第2回資金提供3000万円❷

5月23日:克行容疑者、安倍首相と単独面会⑤

6月10日:案里容疑者の参院選挙区第七支部に異例の第2回資金提供3000万円❸

 克行容疑者の県選挙区第三支部に資金提供4500万円❹

 この日1日で7500万=1.5億の半額、溝手候補への資金の実に5倍が投入されたことになる。

6月20日:克行容疑者、安倍首相と単独面会⑥

6月22日:菅義偉房長官、広島で応援演説(https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190722/k00/00m/010/118000c

6月27日:克行容疑者の県選挙区第三支部に資金提供3000万円❺

 しめて克行容疑者の事務所に7500万円、案里容疑者の事務所に7500万円

 合計1億5000万円が、自由民主党本部から資金提供

7月4日:参院選公示

7月8日:二階俊博幹事長、広島で応援演説(https://www.sankei.com/politics/news/190713/plt1907130022-n1.html

7月14日:安倍首相、参院広島選挙区に応援演説(https://www.sankei.com/politics/news/190714/plt1907140023-n1.html

7月15、16日:菅官房長官、参院広島選挙区に応援演説(http://www.anrinet.com/2019/07/7月15日%ef%bc%88月%ef%bc%89菅義偉内閣官房長官、河井あんり街/

7月21日:参院選投票日、案里容疑者当選、溝手候補落選。

7月24日:克行容疑者、案里容疑者、安倍首相と面会⑦

7月30日:田畑前議員、準強制性交不起訴処分

8月15日:克行容疑者、安倍首相と単独面会⑧

9月3日:克行容疑者、安倍首相と単独面会⑨

9月11日:内閣改造、克行容疑者、法務大臣就任

9月17日:克行容疑者、法相として安倍首相と単独面会⑩

10月4日:克行容疑者、法相として出入国在留管理庁長官と安倍首相と面会⑪

10月30日:「週刊文春」あんり選対の公選法違反疑惑報道

10月31日:克行容疑者、菅官房長官同伴で安倍首相と面会⑫、法相辞任

2020年1月20日:第201回通常国会開会

1月23日:週刊文春、自民党本部から1億5000万円提供を報道(https://mainichi.jp/articles/20200124/ddn/041/010/023000c

 河井案里容疑者本人がそれを認めてしまいました。

https://www.youtube.com/watch?v=sNTkb39hCfA

1月31日:黒川東京高検検事長「前例なき定年延長」閣議決定(https://mainichi.jp/articles/20200131/k00/00m/010/243000c

3月3日:案里容疑者の秘書ら逮捕(https://www.asahi.com/articles/ASN333SWZN33PTIL003.html

3月4日:ホテルニューオータニ投宿中の克行・案里容疑者に捜査

3月24日:案里容疑者秘書ら、広島地裁に告訴

3月28日:案里容疑者、薬物等服用で病院搬送

4月20日:案里容疑者秘書裁判、第1回公判(広島地裁)

5月1日:黒川広務東京高検検事長、賭けマージャン❶

5月13日:黒川広務東京高検検事長、賭けマージャン❷

5月15日:この時期、克行容疑者、案里容疑者に任意で事情聴取

5月19日:案里容疑者秘書裁判、第2回公判(広島地裁)

5月20日:黒川東京高検検事長の賭けマージャン発覚(https://bunshun.jp/articles/-/37926

5月21日:黒川東京高検検事長辞任

6月16日:案里被告秘書裁判、有罪判決(https://www.asahi.com/articles/ASN6J4H50N6DPITB016.html

6月17日:第201回通常国会閉会

6月18日:克行、あんり両容疑者、逮捕

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NHKスペシャル「戦国:激動の世界と日本(1)秘められた征服計画」:遅報(43)

 ウェブ検索してみるとこれって5月放映の再放送らしい。例のごとくたまたま見たので、途中からなので肝心の新発掘資料ってなんなのかが分からなかったが、7/1 午前0時30分から50分間またまた再放送があるようなので、見直そうと思う。というのは、ちょっと考えていることがあって、古代ローマ史との類似現象として、いずれフィリピンを拠点にしたイエズス会の対日戦略についてまとめてみたいと思っているからだ。

 登場している研究者がポルトガル系なので、そこからイエズス会宣教師の宣教報告が発見され新事実が分かった、ということなのだろうか。だとすると、イエズス会士の報告ならローマのイエズス会文書館(テロップにも協力機関として名前が出ていた)に本物が、そして上智のキリシタン文庫にもマイクロフィルムだっけですべてあることになっていたのだが、新発見が本当ならものすごく興味深い。

 番組を聴いているとスペイン・フィリペ2世は、中国征服のため日本の軍事力を利用しようという世界戦略を構想、他方で信長や秀吉は西欧の武器を国内平定で利用しようとした、という両者の思惑が緊張をはらんだ微妙なバランスのなかでの「蜜月関係」の破綻も目前だったが、1582年の本能寺の変での仕切り直し、1598年9月13日フィリペ2世の急死、その5日後の9月18日に秀吉も死亡して、頓挫する、とここはなかなか目の付け所がいい。このテンポの良さに素人の私はつい乗せられてしまう感じすらした。

 番組では明確に言及されなかったが、ひょっとしたらフィリペ2世の世界戦略を忖度した宣教師が中国征服を秀吉に教唆したとも取れる内容で、だが出兵を決めた秀吉の方も抜かりなく、朝鮮出兵の先陣にキリシタン大名をあてて、キリシタン勢力を削ぐ陣立てだった、というのは面白い着眼点だと思った。そういう視点で派遣武将たちを見たことが私にはなかったからだ。となると関ヶ原への遠因は秀吉だったのに三成に怨嗟が注がれてのことにもなりかねない。しかしこの説もすでにウィキペディアで言及されているので、それが「新史料」で立証されたのであろうか。

【追記1】再(々?)放送を見た。結局、ローマのイエズス会文書館で「特別に見せてもらった宣教師の極秘文書」という触れ込みだが、あそこの文書はしかるべき手続きすれば誰でも見ることできるので、NHKさん自分たちは特別だとあまり偉そーに言わないほうがいい。現地仲介エージェントの経費上乗せを求める口車に乗せられての事だとは思いますが。

 挙げ句、新発見は今回調査したという信長の鉛製銃弾のみのようだが、しかし従来の国産品ないし武田側の銃弾の分析はなしでの一方的なお話で、私にはまったく「???」である。当時日本では銃弾の原料にタイ製の鉛を使用していたという話ならばわかるが、そもそも出土地点からあれは信長方の銃弾で、信長側のみそれを使っていたと言われても、そこが信長方の陣地だったら逆に武田方が打ち込んだ弾だった可能性のほうが優ってるだろ(逆も真なり)。なんだか立証方法がやたら安直な感じが。そして素人談議で申し訳ないが、硝石の入手の方が決定的だったような気がしてならないのだが。(すでに2017年に情報あり、本も出ているようなので、それを読めば氷解か。でもわが図書館には入っていない:https://digital.asahi.com/articles/ASK1L5TCHK1LOIPE024.html)

長篠合戦図屏風(部分):ここでは柵の前で撃っている

 ということは、従来知られていた宣教報告書簡を、これまで多くの日本人研究者がイエズス会に遠慮して知ってて触れなかったり、触れても学界的に無視されてきたものを、ポルトガル=スペイン・エージェントとしてのイエズス会宣教師の役割を主軸に位置づけ直したにすぎないようにしか私には思えなかった。これまでイエズス会の宣教資金源を追求されてきた高瀬弘一郎先生の業績読んでるのだろうか。五野井隆史・岸野久氏だったらどういう感想を漏らされるだろうか。登場して解説していた研究者二人がポルトガル人だったので、彼らの研究成果に飛びついたということなのだろうか。

 宣教師に二面性あることは従来からも言われてきたことで、まあ負の面だけを切り取ってこうやって取り上げられると、「ちょっと違うんだけどなあ」と言いつのりたくもなるが、従来自分たちに都合のいい正の面だけ宣伝してきたイエズス会的キリシタン研究に一矢報いるという意味ではたいへん結構なことだと思う。たとえるなら、高度経済成長期に(だけではないが)、日本人商社マンが発展途上国で資源を買い漁り、メイド・イン・ジャパン製品を売りまくっていたことをどう評価するか、という感じ。あれだって経済的植民地主義なんだから。そして、ドラマ仕立てに誇張はつきものだが、実は宣教師と権力者の間には必ず通訳(多くの場合、未熟な)が介在していて、これが微妙なニュアンスで双方に疑心暗鬼と誤解を増幅させた情報を(ある場合は,意図的に)流しているという事実はまったく捨象されているのだから、始末が悪いわけだ。そこまで踏み込んだ史料批判の徹底が求められるゆえんである。

 それにしても、宣教師と信長が互いにまだ利用し合っていた蜜月時代に、突然本能寺の変が、ということで、これで一時もっともらしく流布していた「イエズス会による信長暗殺陰謀説」は完全に根拠を失ったといっていいのだろうか。

【おまけ】この再放送の前に、骨が筋力・記憶力・精力・免疫力の源泉だ、というタモリ番組の再放送もあって、つい見てしまった。パソコンに向かって座ってるのを止めて、足に衝撃を与えるために歩かなきゃ、と思わされはしたものの、実践はしないような気がしてる・・・。こっち情報は「遅報への一里塚」でした。

【追記2】小和田哲男・宇田川武久監修・小林芳春編著『「長篠・設楽原の戦い」鉄砲玉の謎を解く』黎明書房、2017年、を古書で入手してザッと読んだところであるが、現地に密着した地元の郷土史家たちの30年間の地道な調査や鉄砲保存会の実射体験をふまえての周到な成果が覗える内容であった(テレビ放映の杜撰さとは対極)。とりわけ、発見鉄砲玉(鉛製36、銅製8個:母数が少ないのがどうも・・・)のうち、鉛製の70%が国産で、テレビで言っていたタイ製鉛玉はたった12%にすぎず、渡来品として朝鮮・中国製もそれ以上の18%占めていたことは興味深い。他に、散弾が広く使われていたこと、それから鉄砲玉素材の多様性には驚かされた。

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長崎大司教区の失態と隠蔽構造:遅報(42)

 こんな文春オンラインが6/20に掲載されていたのを、偶然見てしまった。「前代未聞“カトリック3億円事件” 神父が信徒の献金を詐欺的投資で消失させていた!」https://news.livedoor.com/article/detail/18476402/

 私はこれ自体にコメントする情報を持っているわけではないが、ローマ滞在時に、「長崎教区は信者献金で財政が豊かで、ローマへの派遣・留学神父の財布もたっぷりで、日本人聖職者の集まりがあっても、僕らはバスで帰るわけだが、彼はタクシーなんだよ」とお仲間のはずの某有名修道会の神父さんがぼやいていたのを聞いたことがある。ローマカトリック教会の総本山ローマに派遣された長崎大司教区神父・神学生は、いずれ国内の司教とか要職に就く出世コースに乗っているので(いずれの修道会でもその事情は変わらないが)、誰もことを荒立てないようにしている雰囲気がそこにあったことを思い出す。

 よって,どの世界にも類似の構造は存在するが、チェック機構がチェックしないのではね。実はみなさんご同様のことしてるから窮鼠に旧悪暴露されないためにうやむやにしちゃったんでしょ、と痛くもない腹を探られてもしかたないかもですね。むべなるかな、むべなるかな。

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アベノマスクの不思議

 死亡した親族の後始末で、帰省している。それ絡みで、母の家、義弟の家、彼が経営していた歯科医院、彼の妻の実家(山口県で皆死亡して空き屋歴10数年)の、久々にそれぞれのポストの中身を回収してビックリ。なんと、例外なくアベノマスクがなぜか1通づつ投入されていたのだ。

 住民が居るのか居ないのか、死亡届なんかチェックしないで、ともかくポストとみれば投入しているその実態が明らかになった。死亡届はちゃんと提出しております。念のため。

 広島のローカルニュースで、市立学校ではまだマスクが不足しているとかで、街の商工会が呼びかけてマスクの寄付を募っているとのことで、映像では当たり前のようにアベノマスクが募金箱、じゃなくて寄贈箱に入れられていた。私も寄付して帰ろうと思っている。

 東京練馬の現住所のマンションには2通入っていたから、ここには夫婦2名在住と把握してやっていたのだろうが(マンションなので管理人さんが関与か)、広島や山口はどういう基準で配布していたのだろうか。ナゾである。

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これで糖尿になれば終わりです:痴呆への一里塚(25)

 明日から実家に10日あまり滞在する予定なので、重い腰を上げて近所の医院に行った。薬をもらうためである。そしたらレントゲン、心電図、血液検査をさせられてしまった。まあコロナ騒ぎで普通の患者が来なくなって病院も大変なんだろうな。

 挙げ句、「これまで心臓で何かありましたか。虚血か心筋梗塞とか、ちょっと心電図に出てます。コレステロール、中性脂肪、γGT、これに糖尿になれば終わりです」と脅かされてしまった。今から20年くらい前になるか、職場の健康診断で心電図がひっかかり、郊外まで出かけて心臓専門の榊原クリニックだっけで検査を受けたあげく無罪放免ということもあった。でもちょっと歩くと息苦しくなり、心臓への負担はたしかに実感している。昔から私は肝臓の数値がなぜか悪いので、アル中扱いされて、控えなさいとこれまでよくいわれてきたが、そんなに飲んでいる自覚はないので、これはアルコールではなく肥満のせいだと思っている。

 コロナ騒ぎで図書館に行くのもおっくうになってしまったが、ピンコロリンするためにはやっぱり運動しなきゃなあ、ということで、帰省して散歩してみようかと、このときばかりは殊勝に考えている私がいる。

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長生きはするもんだ:Ticinum銀貨

 ニコメディア・レリーフ関係でコインをチェックしていたら、なんと驚くべきことにぶつかった。それは2020/3/11のほうに追記として入れておいたが、私の一生の間にこんな僥倖に遭遇するなど考えたこともなかった。2020/1/12掲載のSPES PVBLICAEが3000ドル、2020/3/28のConと息子二人のが7750ドルで、特に前者が市場に出てきたことはそれでもまあ可能性としてあり得るような気がしていたが、今回のTicinum銀貨のご登場にはまったく度肝を抜かれてしまった。なにしろ現存4枚目という超稀少コイン、その上新品同様の保存状態なので、2825万円(25万スイスフラン)という落札価格も納得である。オークションからすでに二年、然るべき博物館の所蔵になっていて、いずれご対面の機会が得られることを祈っているのだが。

https://www.numisbids.com/n.php?p=lot&sid=2518&lot=1051

 以前表側をみつけたエルミタージュ博物館蔵の、鮮明な裏側写真も探しているが、まだみつけえていない。情報をお待ちしている。

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4/9発注本、ようやくのご到着

 インターネットで古書販売のAbeBooksに発注していた本が一冊ようやく届いた。そもそもの到着日に関しては以下のように書いてあって、早くて5月半ば、遅くても6月上旬だったはずが、でも平常だとこの数字より早く着くのがいつものことだったが、コロナ騒ぎのせいでそれよりも余分に20日遅れたわけだ。

Estimated Delivery Date: June 3, 2020 
Approximate Shipping Speed: 21 - 36 business days

 1996年出版の疫病関係の書籍で、価格が4.60ドルで送料が9.00ドル。目次を見たら、本文220ページ中、私に必要なのはとりあえず8ページだけ。こんなの国内大学図書館にあれば(ないから海外発注した)、まあ今回の半額以下でコピーがとれるのに、と思ってしまう。しかも、すでに当面の関心は別に移動しちゃっているので、読むのはいつになることやら、だ。

 その前後で海外発注した数冊の本、いつ届くことやら。なにもかも、一件以来宅配便は遅れがちであるが、まあこれまでが無用に早かったともいえるので、これでいい気がする。

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ニコメディア出土のレリーフ:遅報(41)

 小アジア半島の北西端に位置するニコメディア(現在名イズミット)は、テトラルキア体制の上級正帝ディオクレティアヌスが自らの都に定めた場所であるが、なぜかこれまでめぼしい遺跡に恵まれず、他の諸皇帝の首都(トリーア、ミラノ、シルミウムないしテッサロニカ)に比べて、もの足らないものがあった。21世紀に入り、市内中心部のチュクルビク地区のビル解体時に地下に眠っていた遺跡が発見され、2度(2001,2009年)の緊急発掘にめぐまれ、そこからかつての煌びやかな帝都にふさわしいディオクレティアヌス時代の多色レリーフや立像が出土した。ニコメディアはかの時代、大理石の集散地で、主としてマルマラ海に浮かぶプロコンネソス島産や、ニコメディアの南東200kmのフリュギア地方のドキミオン産大理石を扱っていたが、今般の出土品はプロコネンソス産。出土品はレリーフ30以上、少なくとも4体の巨像の諸断片、1ダースほどの建築資材であった由。

右平面図の黄土色が、ビルに取り巻かれた発掘地点で、黒点箇所からレリーフが発見された:まず下方、次いで上方、だったのだろう

 まだ悉皆的な紹介・報告はなされていないようだが、もっぱら報道され目を奪うのは、何らかの歴史的場面を描いた諸レリーフで、軍事遠征、戦闘、捕虜の移送、凱旋式、将軍たちの会合が描かれていた(といっても、公表されているのは、ここで示したものに限られている)。ヘラクレス、アテネ、ローマ、ニケないしウィクトリアといった神々は持物(「じぶつ」と読む)によって容易に判別可能で、また、剣闘士競技、戦車競走、劇場での演劇など、ニコメディアの人々の日常生活も描かれている由。いずれも完品の出土ではないが、部分的に着色がまだ残っているほど保存状態は良好である(劣化を防ぐため保存処理中で、現在非公開)。私の印象では、人物の描き方が後期帝国に顕著な静的で冷厳な様式からはかけ離れていて、むしろ帝国東部の緻密で繊細なモザイク表現に似かよった親しみやすささえ感じてしまう。たとえが変かもしれないが、肩肘張らず一本力が抜けた感じの造形なのだ。

入城式adventusでの、中央に女神ローマ座像、手に女神ニケ像、左右両端はトガ姿の市民たちか(少年もいる)

 2001年の発掘をもとに当初は、後2世紀末のセプティミウス・セウェルス帝関係の戦勝記念物と想定されたが、2009年の発掘結果により、ディオクレティアヌス時代がらみ(後284-330年の間)の戦勝記念物で、ただ、幾つかのレリーフはより以前の建造物の再利用や奪取spoliaによるせいで、より以前の表現形式が見られる、と分析された。注目すべきは、幾つかのレリーフがテトラルキア時代の芸術で基本となるモチーフが表現されていることで、その代表例が以下である。これは2009年に発見されたレリーフで、中央にひときわ大きく二名の人物が描かれており、彼らは、玉座が設えられた4頭立4輪馬車carrucaから降りて歩み寄り抱擁しているので、この二人をディオクレティアヌス帝とマクシミアヌス帝と特定して同定することも可能であろう。ならば、テトラルキア以前の二皇帝diarchia時代(後293年以前)の場面を表していることになる。となると、コンスタンティヌスのアーチ門(315年落成)に先立つこと20数年前、テッサロニカのガレリウス凱旋門(303年落成)に先行することわずか10年ほどの作ということになり、必然的にそれらとの比較が可能となるはずである。とりわけ風雪で摩滅が甚だしいガレリウス凱旋門上のレリーフの復元の参考になるであろう(ここでは詳しく触れないが、同時代の画像として、エジプトのLuxor神殿内のフレスコ画、スペインはCentcellesの天井モザイク画、シシリー島のVilla Romana del Casaleの床モザイク等との比較研究は心躍るものがある。これらのいずれについても現地訪問も果たしているのだが。問題は私に残された時間である・・・)。

1枚のレリーフはおおむね高さ1m、幅1.5m

 ところで、これがなぜディオクレティアヌス時代の基本的モチーフなのかというと、以下のヴェネツィアのサン・マルコ聖堂前の四帝立像や、ヴァチカン図書館所蔵の二帝立像(いずれも紫斑岩製)がどちらも抱擁の挨拶を交わしていて、それによりテトラルキア体制でのスローガン「一致 concordia・一様 similitudo・友愛 fraternitas」が強調されているからである。この件は貨幣その他のデザインとも通底しており、いずれ詳しく比較検討したいテーマではあるのだが、その時間が残されているかどうかは神のみぞ知るなので、ここでも興味深いネタが転がってますよと、若い後進にお知らせしておこうと思う。

左からヴェネツィア、ヴァチカン、ニコメディア:比較してみると、右端の緻密さは圧倒的だ

 なお、色彩が鮮やかに残っているので、発掘プロジェクト責任者のTuna Şare Ağtürk博士などは、建築後そう時を経ず、おそらく358年に当地を襲った大地震でこの記念建造物が破壊されてしまったのであろう、と想定している(http://archive.antiquity.ac.uk/projgall/sare346;https://www.jstor.org/stable/10.3764/aja.122.3.0411)。屋内の展示であればその仮説も可能かもしれない。私はそれ以上に、コンスタンティヌス王朝時代の意図的破壊や、コンスタンティノポリス建設材料に回されてしまった可能性ありかもと、想像しているがどうだろう。

Tuna Şare Ağtürk博士:生誕年不明

【参考図版】

① Luxor神殿内のフレスコ画:

② Centcellesの天井モザイク画:https://www.mnat.cat/en/monumental-complex-of-centcelles/

上図のように四人の玉座が描かれている;下図での人物像表現にも注目したい

③ Villa Romana del Casaleの床モザイク:https://www.piazzaarmerina.org/villa-del-casale/la-villa-del-casale

皇帝と目されもする人物たち:左中央がマクシミアヌス、右中央がマクセンティウスと想定説あり

④ テッサロニカのガレリウス凱旋門:http://galeriuspalace.culture.gr/en/monuments/kamara/

上部中央のトガ姿の4名がテトラルキア・メンバー:中央着座の2名の左右に月桂冠を捧げる有翼のアモル
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世界キリスト教情報第1535信:2020/6/22

= 目 次 =      
▼米南部バプ連、175年で初の黒人理事長誕生      
▼メリアムウェブスター辞典が「人種差別」の語義変更へ      
▼人種差別抗議デモが米大統領選に影響必至、トランプ支持基盤に動揺も      
▼トルコ・アルメニア教会総主教、「アヤソフィアを礼拝堂に」      
▼ベネディクト16世がドイツへ、兄ゲオルグ神父見舞いに      
▼メディア宣教のパイオニア、ダン・ウッディング氏死去

 この通信は1週間毎に送られてくるが、どうも最近私にとって時間的に掲載速度が増している、ような気がしている。困ったものだ。

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