投稿者: k.toyota

ミラノ・プラダ財団の展覧会でのコンスタンティヌス大帝巨像:2023/1/31-2/19

 ウェブをググっていたら偶然見つけた。「Reimpiegare l’antico. La mostra alla Fondazione Prada di Milano」(https://www.artribune.com/arti-visive/archeologia-arte-antica/2023/01/reimpiegare-antico-mostra-fondazione-prada-milano/):別名Recycling Beauty

 この展覧会は2023/1/31-2/19に、ボローニャで開催されるらしい。私はもちろん行くことはできないが、そこでの展示の中にコンスタンティヌス大帝の巨像のレプリカもあるらしいので、それをメモっておく。

 思い起こせば、かつて2007年にトリーアを訪問したときにちょうど大展覧会が開かれていて(http://pweb.sophia.ac.jp/k-toyota/atelier/constantinus_1700.pdf)、そこで目撃した記憶のある大帝巨像はその後どうなったのかとずっと思っていた。それと同一かどうかは不明なうえに、あてにならない私の記憶とはイメージがちょっと違っている気もする【まったく別のものと判明】。しかもこの写真やたら広角で撮っていてかなりいびつな感じがするが、ともかくその前に立っている女性との対照で、その巨大さが伝わってくるだけの意味あるわけだ。

周囲の壁の窓の形は、もちろんフォロ・ロマーノの新バシリカを模しているのだろう。

 その後ぐぐっていて、Factum Foundationによる本巨像複製作業工程の詳細を知ることができた。それだけでも一見に値するはずだ。特に冒頭の3D再現映像が奇をてらっていて面白い。https://www.factumfoundation.org/pag/1890/re-creating-the-colossus-of-constantin

 ただ、コンスタンティヌスの後頭部は壁に接着されて平べったくなっていたはずのところ、今回の復元像では若干猫背になっているのは参考資料とされたユピテル神としてのクラウディウス像の影響によるものか。いずれにせよ、この展覧会のカタログあれば見てみたい。

【後日談】

古書で発注できました。新本90+送料20ユーロのところ、英国経由なので総計67.05ポンド、¥10600程度でした。現地の書店だと新本割引きで半額くらいになっていたりするのは知っているけど、なにせ重たいので旅行者には負担です。

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スコトーマのはずし方とシャープール1世レリーフ

 小日向文世主演のテレビドラマ「嫌われ監察官音無一六」を見ていると決め言葉に「スコトーマ」scotomaがよく登場してくる。この言葉はもともとギリシア語で「暗闇」の意味だが、眼科で「盲点」という医学用語として使用されてきた。それが近年医学のみならず心理的作用で生じる「心理的盲点」にも使用されるようになったらしい。

 私は緑内障を患っているのだが、この病気は視神経がダメージを受け視野が狭くなっていく病気で、それが眼圧等によって視神経が一般よりも早く減少していく場合、点眼薬で眼圧低下を処方されるわけだが、定期的に視野検査をすると視神経がすでに死んでいる部分が黒く明示される。だが実体験としては正常に見えているので気付きにくいわけだが、要するにすでに視神経は死んでいるのに見えているのは、実は脳が欠落部分を補っているかららしい。

 つまり、普段我々が見ている世界は、眼から取り入れた視角情報を脳で再現した、いわばヴァーチャルな世界といえるわけだ。人間の脳生理はこうした補完をなにげなくやり通しているわけだが、ご本尊の自分自身がそれで騙されていることに気づかないでいるという現実がある。

 我々はえてして見たいと思っていることだけ見てしまう、というのはこういった脳のなせる技なのであるが、実はそれが客観的であるべき研究という場においても生じがちであることを銘記すべきなのである。意外と落とし穴は多いのだ。私の研究で見るべきものがあるとしたら、その類いの研究成果が幾つかあると自負している。たとえば上智大学史学科編の『歴史家の〇〇』シリーズ掲載論稿とか、コンスタンティヌスの記念門とネロの巨像との関連、などなど。文書史料にちゃんと書いてあるのに、平板な読み込みのため読み手の先入見での見落としが意外と多いのである。最近もそれを思い起こす機会があった。気が向けばこのブログで言及してみるとして、今は題名だけ書いておくと、シャープール1世の対ローマ三重凱旋記念レリーフ、とりわけナクシュ・イ・ルスタムのそれに登場しているローマ人(皇帝)をどう同定するか、である。私は35年前にそれについて言及する機会があったのだが、相変わらず根拠のない誤った俗説が世間的に大手を振って流布している。これが現実なのである。

ナクシュ・イ・ルスタムのシャープール1世レリーフ全景      ローマ皇帝二名の表情:顎髭の有無に着目で決着のはず

 研究者に限ったことではないが、スコトーマの罠から脱出することが肝要となる。我らの日常語で表現するなら、先入見を捨てるよう努力するということで、その「外し方」の提要については、「スコトーマ」でぐぐればウェブ情報で同音異曲の解説に巡り会えるはずなので、ぜひご一読いただきたい。

 

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オスティア遺跡関連メモ:忘れへんうちに

 別件をググっていたらたまたまみつけたので、とりあえずメモしておく。

 ブログ投稿者:ほしがらす(自称「山姥」) 2006年から記事アップ。ご主人が山男だったので山に登るようになったと書いておられるが、コマ目に写真記録をアップされていて、私などワンゲルの行動中に写真を撮る余裕などなかったので、感心してしまう。

 その彼女が「忘れへんうちに 旅編」の2022/3/22から4/12にかけて四回に分けてオスティア訪問記が書かれている(https://hulule-hulule-voyage.blogspot.com/2022/03/blog-post.html)。なぜか出版年間違っているが、前年出版の堀賀貴氏の近著を参考文献に掲載しているのはさすがというか。

 それと、これは私の個人的好みなのだが、出色のガイドブック、ガリマール社が原本の『 ローマ―イタリア (〈旅する21世紀〉ブック望遠郷』同朋舎、1995年、を利用しているのにも好感が。この本、私もたいへんお世話になった(もう一つ挙げるとしたら、『イタリア旅行協会Touring Club Italiano 公式ガイド』全5巻、NTT出版、1995-97年、が情報量としては断トツ:両者ともあれから30年近く経つので、ホテルの料金など改訂新版が出てほしいところだが、バブル期末期のあの時代だからこその出版だったと思われるので、もう無理だろうなあ)。

 彼女の訪問記は、国外に限ってもキルギス、ウズベキスタン、ギリシア、東トルコ、イスタンブール、ポンペイ、ローマなどなどと多彩である。私はこれまでも時々見かけていて、並の観光旅行者ではないなと感心していたのだが(そのころはよもや女性とは思っていなかった)、今回はイラン関係でシャープール1世関係を検索していてたまたま引っかかった。それは2017/3からアップされている。キルギスやウズベキスタンを含め、このあたりの重厚さから彼女の興味の中心かと勝手に推測。

 

 

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今回の貨幣オークションでの出物:ネロ、コンスタンティヌス大帝、ディオクレティアヌス

 今日、CNGから第531回目のオークションの連絡が届いて(https://www.cngcoins.com)、まあもはや購入する気はないものの、覗いて見てびっくり。私にとって久々の興味深い出モノが目についた。

 まず目についたのは、ネロ帝のオスティア港打刻コイン。それが2つも出品されていたのだ。オークションで見るのは初めてだと思う。実は、私は2017年の共著の背・裏カバーにこの類似品をなにげに印刷したことがある(AD64, Roma造幣所打刻)。それが以下であるが、コレクターの個人蔵というだけあって、図案の精緻さ・打刻・保存状態がすばらしい逸品である。

 今回のLOT 1031は、Æ Sestertius(circa AD65, Lugdunum造幣所)で、表裏ともかなりダメージを受けており残りが悪い感じで、しかしそれでも業者希望価格は$750。初値は$450だが、まだ誰も手を挙げていない。まあ買う人はいないだろうな。

NE[RO CLAV]D CAESAR AVG GER P M TR P IMP P P / (ex.) PORT AVG

 LOT 1036は、Æ Sestertius(circa AD64, Roma造幣所)のほうは、上記個人蔵にははるかに及ばないが表裏とも保存状況は良好で、それもあってか、業者価格は$1000で、すでに9件の入札があり、現在$950になっている。最終までまだ20日間あるので、どこまでせり上がるか見ものであろう。

NER[O CL]AVDIVS CAESAR AVG GER P M TR P IMP P P / 上 AVG VSTI (ex.) S POR OST C

 このたびの2枚では表面の肖像的は左向きで描かれているが、編著のそれは右向きだし、今回でも銘文は造幣所で異なっている(より詳細に検討してみると、同じローマ造幣所でも同一というわけではない)。

 ネロの貨幣では、今回もうひとつLOT 1034(AD64, Roma造幣所)に私は興味を惹かれた。それが以下である。裏面の図像はいったい何の場面なのだろうか。中央のちょっと小さな人物がネロで、その左後にいるのが母小アグリッピナだと面白いと思ったのだが。裏面の銘文はCONG DAT POP (ex.) SCとなっている。congiarium=祝儀だから、皇帝からローマ市民への祝儀分配の場面(図像の詳細説明は、cf., RIC, vol.1, 1984, p.156, 8)。業者価格$500で、現在5件で$425まできている。

 さらにもっとも興味あったのは、以下のコンスタンティヌス大帝のSolidus金貨(LOT 1181:AD335, Nicomedia造幣所:21mm, 4.04g)である。もう10年早かったらボーナス突っ込んでも購入したかも。業者価格で$2000のところ、現在、入札4件目で$1500。

裏面銘文:VICTORIA CONSTANTINI AVG (ex.SMNP;楯の中にVOT XXX)

 実は、同じCNGのオークションTriton XXVIでディオクレティアヌスの金貨が数枚出ているので、そっちも見に行った。https://auctions.cngcoins.com/auctions/4-85Z7YJ/triton-xxvi?page=2&categories=4-6WINQ&limit=96
それは、LOT829-836で、なかでも高額な業者希望価格$50万のLOT830にはYouTubeも添えられていた。https://www.youtube.com/watch?v=uMXipueSIxs

ただ、こっちは1/10に開始し、締切はあと1日6時間後のようだが、現在4人の入札で$37万5千。

IMP C G VAL DIOCLETIANVS P F AVG / IOVI CONSER VATORI (ex.)AQ

 この金貨は、294年、新設のアクイレイア造幣所のおそらく最初の打刻の、通常のアウレウス金貨10枚分のデニオdenio貨で、38mm, 53.65g、即ちディオクレティアヌスの皇帝就任10周年decennalia記念の10アウレウス金貨、というごく限られた贈答用記念貨幣で、それがオークションに登場したのはここ100年で初めてのことなのだそうだ。YouTubeで確認できるが、本品の保存状況は完璧といっていい。同様のものはこれまで少なくとも4枚確認されていて、いずれも博物館所蔵となっている由。なお裏面の神像はディオクレティアヌスの守護神Iovius= Jupiter像。

【追記】2023/2/26:昨日なんとCNGから紙メールが届いた。これまでにないことだったので何ごとかと開封したのだが、大略いかのような画期的なオークションの報告だった。だから、売り物を出してください、というわけ。

  「先日行われたTriton 26では、ロット830のディオクレティアヌス帝の10枚のアウレウス金メダリオンに6人の入札者があり、100万ドルの大台を超えたのです!  このコインは最終的に190万ドルで落札され、ローマ帝国コインとしては最高記録となりました。バイヤーズプレミアムを含めると、230万ドル以上となり、CNGの長い歴史の中で、どのコインも最高値を記録してきました(40年以上にわたって、かなり信じられないようなコインを販売しています)。 レアでグレードの高いものはすべて、このような結果になっているようです。

 しかし、驚くべきことに、他の市場も同じように動いているのです。先日行われたDavid Hendinコレクションの聖書のコインと分銅の販売では、販売前の見積もりが99,000ドルでしたが、販売終了時には323,000ドルとなりました。これは予想の326%という驚異的な数字です。これらのコインの推定価値は100ドルから5,000ドルの範囲でした。このように、コイン市場の両端がこの高騰の影響を受けていることが分かります。」

 

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最近の発掘報告:2022/12/31

フェイクニュースの見分け方を磨こう

 我が国のマスコミに登場する評論家たちは、相変わらず米欧系のプロパガンダに全面的に依拠しているが、それを是正するうえでもロシア寄りの以下のような報道もあることを指摘しておく。両者を見比べながら今後の推移を見極めなければならない。たとえば今回のゼレンスキー大統領の訪米も、彼らにとってはウクライナ軍優勢で余裕があるからできたことという判断となるが、逆に切羽詰まった状況打開のためという見方もあるはずなのだが。そこまで行かなくても、共和党を軸にアメリカに援助疲れが顕著なことへの危機感があっての対応策には違いないが、そういう見立ては偉い評論家さんたちは触れていないようだし。

 以下の記事は今だと無料で読むことできる。

 2022/12/24:桝添要一「ゼレンスキー電撃訪米はウクライナ疲れの欧米を繋ぎ止められたか:ロシアのメドベージェフは習近平と会談、中国も「アメリカ覇権」は許さない」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73260)

 2022/12/23:高濱賛「米会議を虜にした千両役者ゼレンスキー大統領だったが・・・:米国内ではキッシンジャー博士の提唱する和平論くすぶる」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73243)

 2022/12/21:矢野義明「本格攻勢に出始めたロシア軍と崩壊寸前のウクライナ軍:損耗著しいウクライナ兵に代わりNATO軍兵士も戦闘参加」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73184)

 2022/12/19:The Economist(原記事掲載は12/17)「冬の戦争、迫り来るロシアの攻撃:向こう数カ月が正念場、ウクライナ軍司令官からの警鐘」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73174)

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ウクライナのバンクシー

2022/12/15毎日新聞有料記事掲載「バンクシー、貫く哲学 ウクライナで作品7点 弱者側に立ち続け」(https://mainichi.jp/articles/20221215/dde/012/040/009000c?cx_fm=maildigital&cx_ml=article&cx_mdate=20221218

 「難民に自由を」Free Refugees という落書き(日本)はダメで、なぜバンクシーのそれはアートとして容認されるのか、という問題提起も出てくる。むき出しの直截的な主張よりも、一呼吸おいて一ひねりしたゆとりのほうが、われら衆生にも芸術性を感じさせるのかもしれない。まあ才能ないとできない技ですが。

そこにすでにあるモノを利用しての風刺性、かな:右の落書き、わかりますよね。男根ミサイル
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古代ローマの伝説の植物「シルフィウム」再発見?

 ナショジオから本年の「驚くべき発見22」という記事が送られて来た(https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/photo/stories/22/120800098/?P=4)。念のため見ていて、その中にとんでもない情報があって、私は大興奮した。「絶滅と思われた「幻の植物」をおそらく再発見」。

 これは古代ローマ史にとってきわめて重要なので、元情報(2022/10/9:但し、日本語:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/22/092900445/)のほうも是非読んでほしい。 

 古代ローマには、黄金と同じくらいの価値があり、宝物庫に貯蔵されるほどの植物があった。その植物「シルフィウム」silphium(ギリシャ語:Silphion)は、病をいやし、料理の味を引き立てるとされ、古代の地中海世界で大いにもてはやされたが、あまりの人気のため、そして動物に好んで食べられていたので2000年近く前に食べつくされ、絶滅したと考えられていた(文書記録的に最後の一本を食したのは、皇帝ネロだったことになっている)。この伝説の植物の容姿はリビアのキュレナイカ・コインにも打刻されているし、あの著名なアキピウス『料理書』にもしばしば登場していて、ガルムともどもそれ抜きに古代ローマの料理を語れない存在であった(とはいえ、ガルムはともかくとしても、富裕層に限定しての話だ、という指摘はしておかないといけないだろう)。

 トルコのイスタンブール大学教授で生薬学を専門とするMahmut Miski氏は、学位論文の続きでセリ科オオウイキョウ属(Ferula)の研究を継続中の1983年に、カッパドキアのとある農村に赴いた際、石壁に囲まれたささやかな土地で、それに出会い第一報として1985年に生薬学的観点からの簡単な報告をしていたが、その植物はすでに1909年に採取され新種記載されていて、フェルラ・ドルデアナFerula drudeanaと名付けられていた。今回、それが古代ローマで知られていた「シルフィウム」と同一物ではないかとして改めて問題提起したわけである。

 分布地域や外見は古代の文献記述と一致していたが、さらに確信を得るために、氏はこの現代の植物を、シルフィウムを用いる古代のレシピに使用してみることにした。その結果生み出されたすばらしい味わいは、ローマ人もきっと好んだだろうと納得できるものだった、との由。

 彼が選んだ調理人は、料理史研究家として著名なサリー・グレンジャーSally Grainger女史。彼女はこう述べている。「伝説のシルフィウムを発見し、それを使って古代のレシピを再現できるとは、まるで聖杯を見つけたような気持ちです」(以上:「絶滅とされた古代ローマ「幻の植物」をおそらく発見、食べてみた」

 私見としては、トルコにはキュレナイカから持ちこまれたとの仮説があるが、たとえ北アフリカ原産と同一品種でないとしても、トルコ・アナトリア土着の近縁種のセリ科と考えればいいのでは。Mahmut Miski氏も古来種との同定にはあくまで慎重で、考古学的な出土との比較研究が必要と考えているが、はたしてそれがいつ可能になるというのであろうか。

 それにしても19世紀半ばに北アメリカからヨーロッパに渡来したフィロキセラ(Phylloxera)によって、ヨーロッパ原産のブドウの木は全滅したとされているが、ヨーロッパ原産のブドウがイタリアの孤立した山間部では生き延びているとまことしやかに囁かれているようで、これと同類の話題には違いないが、本当であってほしいと思うのは私だけではないはずだ。

 やっと元論文を見つけたので、興味お持ちの方はご覧下さい。Mahmut Miski, Next Chapter in the Legend of Silphion: Preliminary Morphological, Chemical, Biological and Pharmacological Evaluations, Initial Conservation Studies, and Reassessment of the Regional Extinction Event, Plants, 2021,10,102(https://doi.org/10.3390/plants10010102)

 なお、種子を収めている子房の形がハート型であることでも世人の興味を惹いてきたらしい。

【補遺】「【シルフィウム】絶滅してしまった幻のハーブの謎」(https://www.myherb.jp/main/contents/rilax/silphium.html)

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ロシアの兵器の現状

 今頃になって、以下のようなウェブ記事が掲載された。「ロシアの最新兵器はどこへ消えたのか、統計数字の謎を暴く:野ざらしでさびて使用不能、他国への横流し、分解され売却・・・」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73107):2022/12/14

 内容は、副題に羅列されていることで尽きている。要するに数的な統計は信用できない、というわけである。こんなことは日常的に兵器というものに触れていて実態を把握しているはずの専門家にとって今さらの話ではないはずなのだが(実はそうでなかったと、今回化けの皮がはげてしまったわけだが)、私が記憶する限り10ヶ月前にそれを指摘するマスコミ登場専門家は皆無だった。状況がロシアに不利に展開している現状から、やっとなぜだということになり表に出てきた事実なのであろう。ことほど左様に、研究者や評論家の説の多くは後付けが得意で、先見の明を発揮することはほとんどない。

野ざらしの兵器は錆びちゃうのは常識として、保管されていても実戦使用するには日頃の保守管理が重要なのだそうだ

 これは一人ロシアの問題だけでなく、我が国においても、どれほどミサイルを購入したところで、年々劣化・陳腐化していくわけで、それをどう維持・管理していくつもりなのだろうか。維持経費もバカにならないはずだ。私など転売先どこにしようかと考えちゃうけど。

 関連で、私的に納得できるのが以下である。2022/12/8:市岡繁男「「誰しもが敗者になる」,ウクライナ戦争の行く末はシカゴ大学教授の預言通りか:どちらが勝っても待っているのは混沌、投資家はいまから備えを」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73019)。私は投資には興味がないが、そもそも今回のウクライナ戦争の原因を作ったのはNATOであり米国である、という点には同意せざるを得ないのだ(皆さん、バイデンの息子がらみでのウクライナ疑惑をもうお忘れのようで)。

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