月: 2026年7月

これも遅ればせですが:ポンペイ新発見の遺骸をAIが可視化してみたら・・・

 2026/5/7発信:「ポンペイ犠牲者の最後の瞬間をAIが可視化──すり鉢を手に逃げる男性の映像など、公開も視野に」https://artnewsjapan.com/article/71684?utm_source=yahoonews&utm_medium=referral&utm_campaign=yahoonews

 元原稿は、2026/4/27のポンペイ発掘調査電子ジャーナル「Scavi di Pompei」:ポンペイのスタビア門付近で噴火の犠牲者2名が発見される

 これからはこのような研究方向が一般化しそうである。

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遅報ですが:ポンペイで新たな落書き発見

 送られてきたArtnews Japanを眺めていて、みつけた。2026/1/20情報:画像解析技術でポンペイの「未記録の落書き」79点を新発見──愛の告白や戦闘シーンも:https://artnewsjapan.com/article/60424

 今回のキモは、従来読み取れなかった落書きを画像解析技術で見つけた、という点にある。元情報は以下:https://pompeiisites.org/wp-content/uploads/E-Journal_1_2026_Bruits-de-couloir-Shedding-New-Light-on-Ancient-Graffiti.pdf 

 今回の調査地点は、円形劇場とスタビア門をつなげている音楽堂裏の27mの路地の漆喰壁で、これまでも落書きの山だった場所である。今回研究者らは、反射率変換イメージング(RTI)と呼ばれる計算写真法を用いて壁面を調査した。RTIは、複数の角度から照明を当てて対象物を撮影する手法で、数世紀にわたる風化によって肉眼では見えなくなった微細な傷や刻みを可視化できる。調査の結果、壁からは約300の碑文や図像が確認され、そのうち79点はこれまで記録されていなかった新発見だった。従来の落書きは北側のはかま塗装部分が主体だったが、さて今回はどうなのだろうか。

左:通路を東入口から西を見る          右:RTIを使用しての調査の様子

 私もこの場所の落書きで、ナバティア関係のものに関心を持っていていつかまとめたいと思ってきたのだが、さてその時間が許されているのやら。

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意外に面白い指摘:億万長者あっての民主主義

億万長者こそ「知的エリートの同調圧力」から民主主義を守る盾だ」(https://courrier.jp/news/archives/451217/?utm_source=follow+item+paid+announce&utm_medium=email&utm_content=post-451217&utm_campaign=2026-07-14-18380&courrier_mail_session_id=18380

 「民主主義の敵」だと決めつけられかねない上位0.1%の億万長者は、他の知的エリートよりも多様な思想を持ち、権力分立の一本の柱になりうる、という主張は、私には意表をついていて面白かった。

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AIの間違い探しにいかが?:ポンペイ崩壊

「ポンペイの破壊:古代最悪の噴火」(https://www.youtube.com/watch?v=f2n9Nbt_jMk) 

 1時間10分の見応えある作品。映像でリアルな反面、突っ込みどころ満載の翻訳・解説。

「古代史上最悪の惨事。ポンペイ最後の日」(https://www.youtube.com/watch?v=ynGfyzWRb4w

「A CATÁSTROFE DE POMPEIA: A Pior Erupção da Antiguidade | Documentário Completo」(https://www.youtube.com/watch?v=w-bPRL8cczI

  1時間6分のポルトガル語版

「Inside Herculaneum’s Last 12 Hours: How a Roman City Was Erased by Vesuvius」(https://www.youtube.com/watch?v=jC6yXArK9vQ

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「リンダリンダリンダ」には英語の元歌があったのだっ!

https://www.youtube.com/watch?v=2uCsrDhzzig&list=RD2uCsrDhzzig&start_radio=1&rv=sFumdEJdPCo

 あれ、これって並行世界レコードさんではなかったのだ。

並行世界レコードさんはこっち。アップ口上に「散歩の途中で見つけた古道具屋。その奥の埃をかぶった棚に、この世界では発売されなかったはずのレコードが並んでいました。」とありました。哀愁を感じさせる昭和感が愛おしい。

 とりあえずAI化された第Ⅰ弾14曲は、ここに集められているが、「リンダ・・・」はなかった。https://www.youtube.com/playlist?list=PLhEeaJvcCKXmK7H3OmkIjJsglKf730qqc

 製作者さんの他の作品はこっち:https://www.youtube.com/@並行世界レコード

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北極海航路への眼差し:NHK新番組「真相の館」

 私は以前、毎日新聞 2025/9/29発信を紹介したことがあるが、昨晩(2026/7/3)のNHK Eテレ1だっけでの新番組「真相の館」で、地球温暖化によって北極海航路が現実性を帯びてきて、という内容をやってくれた。私が知らなかった数字をあげて、「日本は、船舶での貿易量が99%である」とか、「砕氷船数からしてロシアが圧倒的である」、といった事実を突きつけてくれて、なかなかのド迫力であった。この初回は成功といっていいだろう。

 世間では温暖化の問題点ばかりが言われてきているわけだが、逆の視点での新展開に気付かせてくれたいい内容であった。

 以下は放送中に示された航行中の各種大型船舶状況一覧に触発されて、ググってみつけた「AIS ライブ船舶マップ Find Ship」(https://www.bouken-asobi.com/map_ais.html)である。物流の流れが一目瞭然で、なによりこのソフト無料なのがいい。

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古代の極端な苦行女性隠修者の最初の出土:スロヴァキア語論文は空振りだったが

 昨年秋に偶然に、メール情報で飛び込んできたナショジオ日本語版で「古代の修道女の過激な「禁欲生活」、初の考古学的証拠が見つかる」(https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/25/072300407/)という記事が目に触れた。ちょっとだけ紹介あって「それ以上は定期購読者」しか読めないとなっていたので、やむを得ず定期購読したのだが、いっかな先に進めず読むことがかなわなかった(2025年8月号所収とのことだったので、それも購入したが空振りに終わった)。それで今回今流行りのAIで教えてもらってみたら、なんでもある墓地から鎖で縛られた女性の遺骸が出てきたという情報が書かれていて、以下の論文が紹介されていた。

 Peter Olexák, Prosopografický výskum fenoménu Äb0ženského Äb0eremitizmu/anachoretizmu Äb0, Studia Theologica 2017, 19(1):113-126.

 要旨は英語だったが、本文は東欧語で書かれていて(表題後半Äb0だらけでそれだけでもなんだか怪しい)、私は最初ポーランド語かと思って、Google翻訳で試して見たがだめで、思いついて自動検出できるDeepLでやったら、スロヴァキア語だった。そして、首尾よく大意は理解できる形で翻訳もできた(ページ変わり目の翻訳は当然混乱しているが)。

 さっそくざっと読んでみたが、2017年公表の論文だから、2025年8月号の最新発掘情報を掲載しているはずのナショジオ記事とズバリであるわけがないが、後4−5世紀の女性隠修者に関する内容で初見のそれはそれなりに勉強となった。しかしこの論文、当然のように文献史学なので、ナショジオみたいな画像はまったくなく、それを求めていた私は胸のつかえがぜんぜん解消されず、もちょっと検索して、以下を見つけ、待望の写真も手に入れることができた。「Sexing remains of a Byzantine ascetic burial using enamel proteomics」(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2352409X25000045)。それが以下である。

左:イスラエル地図  中央上:出土位置、中央下:T3が埋葬場所  右:埋葬状況(鎖をまとった遺骸)

 遺骨の保存状況が劣悪だったので、たった一本残っていた歯のエナメル質の分析を昨年春になっておこなったところ、これまで男性と思われていたものが女性だったことが判明し、事態は急展開。金属の鎖を身にまとうという苛酷な苦行をしていた女性隠修者の存在が考古学的に初めて確認された、というわけである。重要なので、拡大写真を掲載しておこう。

 めったに遭遇できない発見例には違いない。我が国でも女性史関連で論文書いている研究者がいないわけではないが、もっぱら文献依存レベルであり、従来こういった考古学がらみで言及していないわけで、我が国の研究の偏りというか視野狭窄は本当に残念で、あえて苦言を呈し、考古学を射程に入れることに忌避感ない若い研究者の参入を期待せざるを得ない。

【追記】これを書いた直後、ぐぐっていてナショジオの英語版そのもにも行きついた。そこには全文が無料で開示されていたのであ〜る(2025/7/17)。それが以下である。「Nun’s skeleton reveals that some ancient women were extreme hermits」(https://www.nationalgeographic.com/history/article/byzantine-nun-skeleton-discovered-syria-hermits-ascetics-christianity

 これでようやく約1年間の怨嗟が解消されたわけである。それによると、1924年、ラマト・シュロモRamat Shlomo (イスラエル)近郊のヒルバット・エル・マサニ(Khirbat el-Masaniʾ)での発掘調査で、後350年から650年頃と推定されるビザンツ時代の修道院跡が発見された。エルサレム旧市街の北西わずか3キロに位置するこの修道院は、ヤッファJaffaやリッダLyddaから同市へと続く主要道路沿いに建てられていた。そこの地下墳墓3つの第3番目で発見された墓の中に、金属製の鎖を異例な形で体に巻き付けられた、身元不明の人物の遺骨が含まれていた。こういった極端に過激な苦行は当時男性特有と考えられていたので、発掘以来1世紀そう思われてきたが、2025年の春最新のDNA分析をしたところ、なんと女性だったことが判明した、というわけ。

 従来の文献学研究でも、女性隠修者の過激な禁欲生活が散見されていないわけではなかった。たとえばキュロスのテオドレトス『敬神者列伝』Historia religiosa, 29 には、テオドレトスがシリア人姉妹MaranaとCyraを訪れた際の様子が描かれているが、彼女たちは重い鉄の輪や鎖を身にまとって、屋根のない家に住んでおり、その入り口は泥と石で塞がれ、外界から遮断されて外に出られないようになっており、小さな窓から食料や水が差し入れられていた、と(https://archive.org/details/theodoret-1985-monks-of-syria/page/185/mode/1up)。

 ジェンダー論からすれば、この考古学資料、一級の新情報のはずなのだがいわゆる専門家たちはご存じなのであろうか。

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