月: 2026年2月

ヤマザキマリの「対談」を読む

 デジタルで読める「日経ビジネス」で連載対談(2026/1/5-)が始まっているのを偶然みつけた。「マリユミ世の中胸算用対談」https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00828/

 とりあえずは2026/1/9までの5回だが、まだ続くらしい。しかし後続対談はまだ見つけえてない。

 「天才」を「凡才」にする日本の画一的学校教育になじめない人はどうすればいいのか。

 留学体験ある日本人の多くは他人事としては欧州かぶれになるくせに、自分自身は私のような異人を毛嫌いして受け入れられないというよくある話をどう考えるか。

 天才は「育成」されるのではなく、既にどこかに「居て」、でも圧殺されている、という指摘は鋭い。

 文化勲章をもらった塩野七生の後継者として重宝されているようだが、心根として私は彼女の方が好ましい。黒柳徹子風に抜きんでてほしい。

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ドラマと史実:「豊臣兄弟!」を見つつ

 せっかくの娯楽物に後ろ足で泥をかけるようなマネはしたくはないが、こんな批判を読んでいると、つい、もうちょっとなんとかならんかい、脚本家やディレクター、それに時代考証者も雇っているはずなのにと思ってしまう。

 「「豊臣兄弟」の”初任給”はいくらだったか? 秀吉の30貫文と秀長の200文の価値と相場とは」:https://wedge.ismedia.jp/articles/-/40206

 まあ、テレビを見る側はいちいちそんなこと気にしないで娯楽として楽しんでいるのだろうし、それでいいとは思うが、これまでそれで飯食ってきていた身からすると、やっぱりこんな手抜きでいいんだろうかと思ってしまう。NHKも落ちたものだなと、つい思ってしまうのだ。

 逆に言うと、専門家といってもいい加減な物書きが最近なぜか目につくようになってる気がする。彼らは研究者とはいえない。私の研究分野でも、専門書と一般向け概説の落差が目立っていて、大衆が身銭を切って購入する概説ものに私の目から見ていい読み物はなぜか見当たらず、他方、専門書はごく限られた研究者のみが対応可能で、内容的にも微に入り細を穿っていてとりあえずちっとも面白くなく、大衆の読者など期待すべくもないわけだ。

 本来概説書とは、大衆向けでありながら専門研究を反映した内容であってほしいのだが、実際には50年以上も前の山川教科書と同レベルを平気で書き散らしているのだから、大衆読者を馬鹿にしているとしか思えないのだ。これを戯画的に表現すると、思い付きでの企画書提出しかねない編集者と、その内容で書いてくれる研究やめてしまった書き手の癒着構造とでもいうべきか。

 私的には、今や絶滅危惧種となった昭和の編集者と出会いたいものである。ま、そのためには当方も精進しないといけないわけだが。

 そんなことを思っていたとき、以下の本の存在を知った。読んでみようと思う。佐藤賢一『歴史小説のウソ』ちくまプリマー新書、2025年。どこかで見たことある名前だと思ったら、あ、『カエサルを撃て』を書いてたよね。これは期待できそうだ。

 

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安直なレアアース報道と課金問題

 少し前に、えらく楽観論の報道がアメリカからの外信という形で飛び込んできた(https://courrier.jp/news/archives/429921/?utm_source=ranking+item+paid+announce&utm_medium=email&utm_content=post-429921&utm_campaign=2026-01-24-17218&courrier_mail_session_id=17218)。中国からの輸入が途絶えても大丈夫だという文脈だった。海中深くからそんなに簡単に吸い上げられるはずはないのだが、と素人ながら思ったものだが、どうやら選挙目当ての好材料として使われたものだったらしい(https://mainichi.jp/articles/20260216/k00/00m/040/177000cutm_source=article&utm_medium=email&utm_campaign=mailasa&utm_content=20260218)。どうもこの手の偽情報が最近の流行りらしいが、ま、私のようなド素人でも「おかしいな」と疑問符つけて読んでしまう分はいいのだが、これに課金が絡んでくるとかなり危うい。

 実はこのところ、ある論文検索のデータベースからしつこく連日のように「Your payment was recently declined」というメールが比較的新しいメーラーのほうに送られてきている。毎月の課金額は$10程度で、ダウンしたはずの登録クレジットカード末尾4ケタも有効期限の表記も正しいのだが、肝心のクレジットカードは実際には使えているので、こりゃフェイクだと放置している。おそらく末尾4ケタも有効期限も情報流出したのだが全部知りたかったのだろう。

 今日も今日とて欧文論文がなんの支障もなく降ろせているのだから問題ないが、こういった詳細を当方が記録していないと(普通はメルアドと暗証番号くらい)、偽メールかどうかの判断はかなりやばくなる。その場合は放置して様子をみるしかない。

 ところで私が死んでしまうと、遺族が支払い銀行を解約することでカードは御用済みとなるのだろうか。

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NHK BSで見た:「7つの新発見の旅!:ローマ帝国を大横断・エジプト〜モロッコ5000キロ」

 初回放映はことしの1/24だったらしいが、それを見落として2/8に再放送で見た。今だとオンデマンドで見ることできるし、再放送の予定もあるらしい。

 何が新発見なんだろうと興味をもったのだが、あれれれれ、と。発掘現場での新発見がほとんどだったわけで、だからまあ放っといても「新発見」には違いがないのだが・・・。一番違和感あったのは以下だ。

 ギザのピラミッド横から大浴場が出土してという話の中で、円形の座席型の浴室の話が出てきて、報告役の漫画家ヤマザキマリが「知らなかった」とか言っていたが、それを私はイタリア半島のアドリア海沿いで最南端から北上している途中の博物館で見たことがあるし(セラミック製だったと記憶する)、チュニジアのフェニキア遺跡として著名なケルクアン遺跡でも、今をトキメく著名大学教師で当時は院生だったお方がそこに座ってにっこり微笑んでいる写真も撮ったことあるし、さてチュニジアだっけのホテルで座席型を再現した現代のお風呂の部屋に偶然1泊したこともある。ぜんぶ写真に撮っていたのだが、それがどこにあるのか、今となっては不明なのだ・・・。とほほである。

 ここではググってみつけたケルクアンでのそれを示しておこう。意図して撮られていないのでズバリではないが(特に左側)、座席式であることは確認できるだろう。あそこの遺跡には普通のバスタブを含めてこの手のバスタブが色々あった。個々の家の風呂という感じ。

 だからたぶんフェニキア系のものがギリシアを経由してイタリア半島にも到着していたのだろうと想像している。

 また、ギリシア系だとすると、シャワー式だった可能性もあると思う。遺跡では上部構造は破壊されて、だいたい土台部分しか残っていないわけだが、ともすると研究者すらそのことが忘れられていて。ギリシア系の浴場では人間が壁に沿って立ったり坐ったりして、頭上から水が落ちてくる一人用の「ヒップ・バス」(Hip bath / Sitz bath)方式があった。これは、アルキメデスの「εὕρηκα!」(わかったぞ!)がらみで意外に知られている話なのだが、まあ浴槽でないと彼の原理は発見できなかったわけで、となるとあのエピソードはちと眉唾じみてくるのだが。ギリシア人と表記されることの多い彼は、実はシケリア島のシラクサ出身だったので、そのまんまギリシア式ではなく各種のバスタブがあったということにしておこう。以下参照:https://clsoc.jp/QA/2024/20240607.html(なんとこの解答者は、齋藤君ではないか!)

左はシシリアのGela遺跡のギリシア式浴場:ひょっとしたら本来は右図のような構造だったのかも

ギリシアの壺絵(?)にもシャワー式を描いたものがあったような。

 だから筋書き書いた今回のディレクターさんちょっと不勉強だったんじゃないかな、そういう感想をもってしまった。

【追記】以前のブログでケルクアンの座席バスの写真はアップしていた:2019/5/27「アウグスティヌスも入浴した」

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