ナポリ湾西部のカンピ・フレグレイでbradisismo現象活発化!

 イタリア在住の藤井さんから連絡があって初めて知ったが(退職後新聞購読やめたせいかも)、カンピ・フレグレイ地区で群発地震が発生しているようである。ちょっとググってみたら、10/2にナポリでもマグニチュード4.0を記録したらしいが、それを報じているイタリアメディアではちょうどナポリvsレアル・マドリードの試合を3日に控える中での地震でサッカーの試合が危ぶまれると、いかにもイタリア的な扱いなのがおかしくもある。

 上掲の地図をご覧いただくとわかるように、この地域は古来火山活動が盛んで大小24のクレーターが大地に刻まれている特殊地殻で、常時地面の緩慢な上下運動、すなわちbradisismo現象がみられるのである。ポッツオリでは毎年10cmの地盤の上昇が記録され、1950年代からの標高差は4mに達している由。

 しかし、今回の地震、実は以前からその兆候があったようで、さらにググってみたら、すでに6/11付で警告が発せられていることを知った。「ヨーロッパで最も危険な「スーパーボルケーノ」が噴火に近付いている可能性」(https://texal.jp/2023/06/11/europes-most-dangerous-supervolcano-may-be-close-to-erupting/)。

 これはイギリスの研究者たちが今年の6/9に学術誌に発表したものに基づいての報告である(Communications Earth & Environment: Potential for rupture before eruption at Campi Flegrei caldera, Southern Italy)。

 ここでは要旨を転載しておく。

「長い眠りから覚めた火山は、マグマが噴出する前に地殻を破裂させる必要がある。破裂の前には、地盤変動に伴う地震発生率の変動が繰り返され、局所的な地震によって解放される応力量をトレースする。イタリアのカンピ・フレグレイ・カルデラでは、1950-1952年、1969-1972年、1982-1984年、2004年以降の4回の地盤隆起のエピソードにわたって、噴火のシーケンスが展開されています。私たちは2016年に、最大の動きのあった場所で30~40cmの追加隆起の後、破裂へのアプローチが続くと予測した。我々は、地盤の移動量を伴う局所的な地震の数の変化に関する新しいデータで分析を更新した。ここでは、その後の事象が我々の予測を裏付け、動揺がカンピ・フレグレイの地殻の構造を変化させていることを示すものである。この結果は、火山が噴火する可能性、あるいは噴火せずに沈静化する可能性を評価するための新たな制約となる。」

 同じナポリ湾の東部にはウェスウィウス山もあるので、そっちではどういう地殻変動状況なのか、私的には大いに関心あるのだが、藤井情報ではとりあえずなんの被害もなかったようで、どうやら連動していないのが不思議でもありまた興味深い。

【追記】これをググっていたら、以下をみつけた。「2017年6月海外火山学実習報告(イタリア国ストロンボリ火山、カンピ・フレグレイ、ポンペイ)」(https://www.kazan-edu.jp/data/H29%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%83%AA%E5%AE%9F%E7%BF%92%E6%A6%82%E8%A6%81.pdf)。理学部系院生の現地実習の簡単な報告のようだが、それで何が分かったのか、その報告も読みたくなった。

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