ローマ軍士官用の腕当てmanica 復元される

http://www.thehistoryblog.com/archives/date/2024/01/22

 1840年の鉄道建設中にイギリスのスコットランド国境付近のトリモンティウム Trimontium のローマ砦遺跡が発見され、1905-1910年の調査で出土していたロリカ・セグメンタ lorica segmenta 式の真鍮製の armguard がこのたび修復されて、大英博物館でのお披露目のあとスコットランド国立博物館で常設展示される。

 トリモンティウム(八ヶ岳ならぬ三ヶ岳)は現在名 Newstead で、後80年代に川に接続する高台に建設された。これはハドリアヌスの長城とアントニヌス・ピウスの長城の中間点の戦略地点に位置し、ハドリアヌス長城にとっては突出した最重要な前線基地であり、アントニヌス・ピウスの長城にとっては兵站補給基地として機能していた。規模も大きく、他の砦の3倍はあり、常備軍は多数の騎兵を含めて1000名、商人その他の民間人は2〜3千人と想定されている。甲冑遺物は発掘時の状況から180年に砦が放棄された時に甲冑の修理工房に残されたものと想像された。

 100程の断片から復元されたのだが、一般軍団兵の鎧は鉄製だったが、真鍮製のアームガードは、新品の時は金のように輝いていたはずで(現況は緑色に錆びている)、高位の将校のものだったに違いない。ガード部分は肩から手首までで、機能的に二分割されていて、楯で防御される左手は下半分がない場合もあった(下写真左側参照)。

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