かつて原発村、そして今また地震村

 自民党の派閥の解散が報じられているが、どうせ名前を変えてまた出てくるだけなのは、35年前を覚えているド素人の私にでもわかる。ま、ちょっと理屈っぽくいえば、勉強会はまったく問題ないのだが、そこに権力とお金が絡むと派閥といわれちゃうだけのことだ。最近どこかで大臣になるためには4000万円上納(どこへ? 総理大臣の懐かな)しないといけないと聞いた覚えがある。これが事実だとすると売官制度も実はいまだ背後で健在というわけだ。無能な大臣が続々出てきている現実を見るにつけ・・・、パー券の裏金作りも実態はこの売官システム用なのではないかな、と私などつい想像してしまうし。それは特捜も先刻ご承知のようで立件される線引きの額が4000万らしく、この数字の一致は偶然なのだろうか。

 そして福島地震で懲りたはずの原発なのに、10年以上すぎたらやっぱり原発しかないとばかりに、いったん決めていた耐用年限40年を延長しての再稼働とかの連続で、あのとき話題になっていた安全神話を口を揃えて言っていた研究者たちのことを「原爆村の住人たち」と称して、要するに国からの研究費分配に与っていた研究者たちの口車に乗っていたのだというわけだが、まあそれだけではなく地元にこれといった産業もない過疎地にとって大量の補助金はうまい話だったという半面もある。上も下も欲の皮だったわけだが、そうならざるをえない事情があったわけだ。

 そして元旦に生じた能登半島地震がらみで、私は少々ビックリしたのは、ラジコで聞いているニッポン放送「辛坊治郎ズームそこまで言うか!」で地震の発生確率を地図にしたものが毎年出ているのだが、これによると能登での地震発生はありえないことになっていた、実は熊本もそうだった、と言ったのを聞いたからだった(https://www.mag2.com/p/news/591278)。

https://www.j-shis.bosai.go.jp/news-20230718 この地図は昨年7月製作だから、能登半島は薄い黄色になっているが(熊本は2016年発生の地震なのでここでは赤くなってされているけど)、石川の新聞記者に言わせると、それ以前に日常的に地震が多発していたようだ。要するに地元の実体感は、行政や研究者とはまったく乖離していたわけで、まあ過疎地の限界集落は事実上見捨てられてきていたというわけなのだろう。しかもこの地域は原発建設で名前が挙がっている場所でもある。

 それで辛坊先生ご推奨の以下の本をさっそく入手。小沢慧一『南海トラフ地震の真実』東京新聞、2023年、¥1650。来週冒頭のラジオに著者がご出演するらしい。

「はじめに」で結論はもう出ている感じ。「防災行政と表裏一体となって進むことで莫大な予算を得てきた地震学者が、行政側に言われるまま科学的事実を伏せ(させられ)、行政側の主張の根拠になる確率を大甘で算出し、とりわけ南海トラフの発生確率は20%程度だったのに70-80%と決めた(より正確には、決めさせられた)」のだそうだ。それで莫大な国家資金がまっ赤から紫色の地域に投入される段取が整ったわけである。

 研究者委員はその算定に反対したのだそうだが、防災予算獲得の見地から結局は押し切られてしまったのであれば、これは「地震村の住人」と言われてもしかたがないだろう。異論を唱えていると村八分に会って科研など資金源を干されてしまうのが理系の通弊である。

 世界で起きるM6・0以上の大地震の20%は日本で発生するのだそうだ。結局、日本はどこでも大型地震が起こる可能性がある、と諦念して、それに対し個人できる対策をとるしかない、というわけ。私はだいぶ前に災害対策としてあれこれグッズを購入済みだが(妻から言わすと、それを取りに家に入ることが実際できるのだろうか、と宣うわけだが)、あとは本棚などを天井と固定する道具も購入しているが、それをちゃんと設置するには至っていない。人生終わっている我らはいいとして、時々泊まりに来る未来ある孫娘のために、とりあえずそれを頑張って設置するしかないか。

【追記】2024/1/21毎日新聞に以下の記事が。「石川県、M7.0地震想定、四半世紀見直さず:津波は震災後変更」:

 「能登地方では20年12月から群発地震が活発化した。県はこれを機に地震想定の見直しに着手したが、間に合わないまま能登半島地震が起きた。

 地震想定だけ見直しが遅れたことについて、地域防災計画を作る県防災会議・震災対策部会の複数の専門家が取材に応じ、県が、国の地震調査委員会による活断層評価(長期評価)の結果を待っていたと証言した。

 調査委は東日本大震災後、全国をエリアごとに区切った活断層調査を始めたが、能登を含む中部地方は未着手のままだった」らしい。

【追記2】2024/1/22の「辛坊治郎ズームそこまで言うか!」の地震関係の部分は「https://www.youtube.com/watch?v=sAQkWRkSsdk」での27:30あたりから48:20付近まで。

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