【閲覧注意(^^)】そうだ「娼年倶楽部」でどうだっ!:Ostia謎めぐり(8)

 以前チャンネル回していて、後半だけみた「娼年」(2018年)ではそうも考えなかったが、今朝深夜に番組表の503チャンネルで「ザ・娼年倶楽部」が眼にとまった。このチャンネルは契約していないので映像を見たわけでないが、題名でひらめいた。

 Ostiaの「トリナクリアの浴場」Terme della Trinacria(III.xvi.7)も、聖所あり、地下水くみ上げ構造あり、一見パン窯風構造ありと、なかなか興味深い浴場なのであるが、とりあえず私が関心を持っているモザイクが二つある。ちなみにトリナクリアとは三角形のことで、その形状から三つの岬を持つシケリア(シチリア)の別称となっている。

、「トリナクリアの浴場」平面図;、シチリア州旗中心部分。蛇のメドゥーサでなく麦の穂になっているのがミソ

 その一つが、上記平面図での番号7の南壁際のベンチ前に埋め込まれたラテン語の白黒モザイクである。最後の一字の空間が手狭で「M」が無理矢理小さく書かれているのもご愛敬だが、頭の「S」の前に空間があるのだから、最初にちゃんと按配すればいいものを、と思わずにはおれない。手抜きの奴隷仕事だからか、今のイタリアにも連綿と通じるやっ付け仕事の民族性なのか、こんな仕事ぶりは他にも墓石碑文や顕彰碑文でもよく見かけるので、決して例外ではない(よもや、図案的なアクセント、ってことはないよね)。

部屋(7)の南から(5)方向を見る:右下の影部分に銘文モザイクの一部が見える
「STATIO CVNNVLINGIORVM」と読み取れる

 さて「statio」とは普通には宿駅のことだが、ここでは同じオスティア遺跡内にある「協同組合広場」Piazzale delle Corporazioni (II.VII.4)のそれとの連想で「事務所」とでもするしかない、そして「cunnulingiorum」はなんとも難物で、このラテン語、男性属格複数形なので、ご存知のように女性器をなめ回す男どものこととなるが、どう邦訳すれば品格あふれる私の論考にふさわしいかとなると、これまで思案投げ首だったのだ。ご多分に漏れず表看板だけにせよ、ここにはご婦人方に奉仕する若くてハンサムな男性奴隷たちがいて、お客様のお好みのままですよ、というわけ。世に「ボーイズ・クラブ」なるものが存在していることも今回初めて知ったほどの世情に疎い私であるが、続編「逝年」(せいねん,と読ませるので「少年」から「青年」への語呂合わせか)では文字的イメージでなんだか夢がないし(青年を通り過ぎて私世代みたいな)、このブログを読んだ後輩が「娼年」ではなく「娼夫」ではないかという意見も寄せてくれたが、看板的にはやはり若いほうがいいはずなので、やっぱり「娼年」でいこう!、というわけ。読者の皆さんでもっといいネーミングありましたら、教えて下さい。

 なおもうひとつは、部屋番号「8:tepidarium」に辛うじて残っているアスリート・モザイクであるが、それについてはいずれまた。

上記は一昔前の写真のもので、現在の保存状況はもっと悪い

 以下は参考事例としてのPompeiiの「郊外浴場」Terme Suburbane(VII.16.a)平面図(だいたいが地階[=日本での一階]だが、Dから階段登って上階となる)、とその脱衣所apodyterium (7)、そしてそのフレスコ画部分図。ここは最近は通常見学ができたりできなかったりの感じだが(私は最初見学許可を得て入った:その後、修学旅行風のイタリア人男女高校生一団がどやどや入って来てギャアギャア騒いでいた場面に遭遇したことがあって、さすがイタリア、18禁はないのだと)、その一階(日本での二階)には、娼館が付属していて専用トイレ(14:女神Fortunaの絵もある)もあって、こっちは許可を得ないと見学できない。私はトイレだけ一度見学したことがあるのだが、監視員が融通効かない中年女性だったせいか(すみません)、娼館のほうは見せてくれなかった(いや申請書には見学先を「トイレ」としか書いてなかったので、当たり前なんだけど。現場に行ったらそっちもちょっと見えて、しまったと・・・(^^ゞ)。

、平面図;、(7) 脱衣所全景:正面と右側に件のフレスコ画。件の画材はもっぱら右壁に残っている。当時は木製の棚があり、壁には釘跡も発見されている由
、主が女・奉仕者が男(III);、主が男・奉仕者が女(II)
これは、髪の形から一説では女性同士と考えられている(IIII)

 古代の著述家たちががどう書き残しておろうが、現代の研究者が上品ぶってなんと言い繕おうが、古代ローマ時代において、たぶん能動者も受動者も、娼館といわず自宅においても、相手が奴隷であろうが妻であろうが夫であろうが、何憚ることなくこの快楽と痴態に身を委ねていた、と私は想像する。ちなみに、オスティア銘文では奉仕者が男性形なので、享受側を女性と一応みなしたが、実際にはもちろん享受者が男性の場合もあるだろうし、奉仕者が女性の場合だってあったはず、と私はにらんでいる。

【閑話休題】参加者の大部分が私より年上で、女性のほうが多いある読書会で、なんかのついでに「私はホスト・クラブなんかに行ったことないので、行かれたことのある女性のご意見など承れれば」とつい口走ったことある。すぐさま女性陣から「ホスト通いするのは、男相手の水商売している女性がその屈辱感を逆に晴らすため鬱憤晴らしで行くところです!」と、きつく反論されたことがあった。ま、70歳過ぎてもこんなことも私は知らない野暮天でして、すみません。またまた普通の社会人に教えられました。

【追記】我が家に孫娘が来たら滞在する彼女専用の部屋に置いてあったトイレ関係を入れていた段ボールがあふれかえって壊れたので別のに入れ替えをしたら、下の方から2冊欧文著作が発掘された。Luciana Jacobelli, Le pitture erotiche delle Terme Suburbane di Pompei, L’Erma, 1995;Garrett G.Fagan, Bathing in Public in the Roman World, The University of Michigan Press, 1999, paperback 2002. こんな感じで研究書がどこかにかなり埋もれているはずなので、時々掃除するのはいいことだ。実はもとの所属大学に寄贈した雑誌のJRA,15が未だ行方不明。さて生きてる内に探し出せることやら。

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