アウグストゥスの寝落ち:遅報(10)

 以下、「痴呆への一里塚(10)」にすべきかと迷ったのですが、こっちの「ちほう」にしました。

 以前、昼間、突然の睡魔に襲われて、といった類いのことを書いたことがあるが、最近どこかで読んだウェブで「寝落ち」という病気があることを知った。

 私はこれまで、老人になって食後の眠気の状態が極端に出ていると素人判断していたのだが(自体験的には、どうも退職後顕在化したような気がしたこともあり)、これが、ナルコレプシーという脳内物質の分泌不全の可能性もある、ということのようだ。

 ま、私にとってそれはそれで老化現象の一種でしょうがないわけだが、アウレリウス・ウィクトルを見直していて、ひょっとしてと思いついたのは、アウグストゥスのことだった。「1-4:性癖的にかの人物は市民的で魅力的だったが、まったく節度がないほどの贅沢三昧と諸競技に熱中し、そのうえ睡魔には抑制がきかなかった」。彼、ひょっとするとこれではなかったのかな、と。大叔父のカエサルにはてんかんという持病(当時てんかんは「神聖病」と捉えられていたらしい:https://dot.asahi.com/dot/2017080900082.html?page=1,2)があったので、あの家系は(なんて今日日不用意にいうと怒られるかもだが)、脳機能に先天的遺伝的な弱点があったのかもしれない、と妄想をたくましくしたくもなるのだが、どうだろう(cf., スエトニウス『ローマ皇帝伝』[國原吉之助訳、岩波文庫]「カエサル」I.45、「アウグストゥス」II.16;プルタルコス『英雄伝』[長谷川博隆訳、ちくま文庫]「カエサル」17)。

2008年アルル付近のローヌ川底から発見された最古(生前製作)といわれるカエサル像

 絵に描いたような正常で健康な人間などというものはどこにも存在しない。ちょっと常態を踏み外した存在がある才能に特化していると天才だったりする。そこまで生産性はなくて回りに「あいつ普通じゃない」とうさんくさく思われる存在は変人・奇人といわれるのだろう。さらにそれが病的に問題行動をとるようになると異常者か。しかし、常習性はなくて突発的に問題行動をとってしまう場合もあるはずだ。どうみても天才ではない私は、せめて奇人で終わりたい。

【追記】書いていて思い出したのだが、実は、一昨日の火曜日、渋谷での勉強会を終えて地下鉄で帰宅途中、21時前だったろうか。車内で女性の小さなどよめきが聞こえた、ような気がした。それで声のほうをみると、満員の車内のほんの2m先で30歳くらいの若い女性が隣の人にもたれかかるようにして床に倒れていた。別のそばの女性が親切にも助け起こそうとしたが(日本人の男はこう言う場合動かない、いや、あれこれ考えてしまって動けないのでア〜ル)、その時は目を閉じ上半身がずるずるとなるだけで、立てそうもない感じだった。私にはペットボトルをしっかり握っていたのが妙に印象に残っている。こりゃ何ごとかととまどっているうちに、1、2分たっただったろうか、ようやく立ち上がることもでき、一番近くに座っていた男性が立ち上がり席をゆずろうとしたのだが、ちょうど停まった駅でプラットフォームに降りることもできた。あとはもちろん知らない。

【追記2】4年前に、カエサルの症状での新知見もでていたようだ。https://www.afpbb.com/articles/-/3045562

 カエサルの顔の復元も試みられている:https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2018/07/julius-caesar-may-have-been-less-heroic.html#LRlAIOW6s1FvbFxZ.97

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