ケータイの画像を調べていたら、ローマの国立考古学博物館・マッシモ宮の最上階はフレスコ画中心の掲示になっているが(最大の見どころは、Villa di Liviaのそれだろうが)、Villa della Farnesinaの寝室Dを入口から覗いていて気づいて撮っていたのをみつけた。たぶん夫婦の寝室なのであろうが、部屋の三方の壁の中央の嵌め込み壁画がどうやら連続画になっているようで、なにぶん角度と距離あるのでうまくは撮れてないが、なんとか撮れたものを繋げると以下のごとし(本当は、初夜を前にして新婦が一人で物思いにふけっているのが最初だけど、角度的にうまく撮れないのが残念。それにエロテック情景のせいか、インターネットはおろか各種カタログなどに掲載されていないようだ)。
Ed.by G.Jansen, A.O.Koloski-Ostrow, R.Neudecker, Sixty-Six Toilets and Urinals in the Ancient City of Rome: Sanitary, Urbanistic, and Social Agency, Peeters, Leuven, 2024, Pp.334.
目次をみて目に飛び込んできたのは「19-21. Urinals of the Colosseum (pp. 61-66) 」で、筆者はElisa Cella と Gemma Jansen。冒頭の19-21はトイレ遺跡の番号なので、コロッセウムには3箇所トイレ遺跡があるというわけなのだろう。実は私はこれまで、五万人内外の収容者数を誇るこの建造物にトイレがないわけはない、という観点から、観光客が見ることができる箇所は繰り返し見て探してきたし、地下構造のツアーにも参加してきたが、いわゆるローマ式トイレ構造を見つけることができず(壁に沿ってコの字型に掘られた溝のある部屋は幾つかあった)、中世から現代までの長い歴史の間に古代ローマ時代のトイレ設備は解体されてしまったのでは、との仮説をたてざるを得なかった。その際、思いついていたのは、たしか南仏のニームの円形闘技場(ここにトイレ構造があったことは、某論文で触れられている)の通路の内縁の壁沿いに、おそらく男性の立ちション用の簡易便器(2021/3/8公表のオスティアのI.xvii.2の「ミトラスの浴場」Terme del Mitra のそれを長く拡大した感じ)を目視した記憶があるのだが、それと同じものがコロッセオにもあったのでは、そしてそれが後の時代に取り外されてしまい、だから今探してもみあたらないのでは、というわけである。