投稿者: k.toyota

ポンペイ、郊外浴場「脱衣場」の特殊フレスコ画【18禁(^^)】

 読書会での準備でまとめた成果を公表する。もうひとつ、アエネイアス関係画像も面白かったので、生きていたらいずれ。

 私はポンペイの「郊外浴場」(VII.16a)にこれまで三回以上は立ち入っている。最初、考古管理事務所の許可を得たのが一回、あとはなぜか行ってみたら自由に入れて(2016年11月23日から一般見学が可能になったからだが、そんな情報事前に得られてなかったので:そして例のごとくイタリアなので、所長が替わったこともあり、現在も公開されているかどうかは不明)、あるときなどは先生に引率されたイタリア人男女高校生のご一行様と一緒のことあって、彼らが大騒ぎしているのを見聞したので、あっち方面には限りなく開放されていると思われる彼らにとっても、かなり面白い見学だったようだ。

左、郊外浴場を東側から見る                  右、平面図

Room d:脱衣場 apodyterium の入口から見た右壁:この部屋は奥行きのある長方形であるが、件の壁画は奥まったほうにのみ描かれている。手前半分以上の壁の現況には、上部に茶色の枠組みと花綱模様めいた図案が描かれ、下部は黒色に塗られている。

想像図:John R.Clarke, Looking at Laughter, U. of California Press, 2007, Plate 23.
右下にわずかに見えるのは、部屋dの右出入口

 下図は、部屋の奥の3面の写真

向かって左壁の中・上部はすべて剥落、正面は脱衣籠部分と格子模様の下部のみ残存

 フレスコ画がほぼ完全に残っているのは右壁だけで、しかもそれを子細に眺めてみると最初の絵の上に格子模様を重ね描きしたような痕跡もあるし、発掘時にはその上にさらに塗りつぶしの重ね塗りがされていたらしい。

 その右壁の奥の問題の絵画の全景が以下。全体の描き方の流れとして左下から右上となっていて、手前に衣服を入れる脱衣籠が縦長に、ローマ数字でIからVIIIまで番号が振られ、その奧にベッド上での男女の性的体位が描かれている。黒色の縦・横の区切り線等は後からの重ね描きと思われる。

以下、詳細に見る。最初にNo.IとNo.II:以下、画像は番号順に右から左に見ていく。

No.Iが女性上位(騎乗位)で、ローマでは好まれた画題、No.IIは男性がバックから

次にNo.IIIとNo.IV:

No.IIIが乳バンドした女性によるフェラティオ、No.IVは着衣の男性によるクンニリングス(男の視線が面白い)

次は問題の箇所、No.VとNo.VI:

No.Vは、後からの重ね描きがかなり邪魔であるが、私は頭髪に注目して女性同士のレスビアンと考える。しかし左側を男性とみなす説もある:以下の線描画はたぶんそういう解釈か;No.VIはバックから攻める男・尻を差し出す男と後背位の女の3連性交図

No. Vの部分拡大図

後に付加された黒枠が邪魔であるが、左に立っている人物の左肩に相方の足が持ち上げられているのが特徴的

次も問題の、No.VIIとNo.VIII:

No.VIIは後背位でつながった男・男と、右の男にフェラしている女とベッドの端からその女にクンニしている女の四連性行図
左図はそれを図示したもの

さて、No.VIIIはというと、これがいささか場違いな画題なのだが・・・:

ベッドに座り、冊子本を開いて見物人の方に示している若者のように見えるが(文字で格言が書かれていたかも知れない)、より問題なのは彼の股間で、ささやかな男根と大きくふくらんだ睾丸が描かれている。睾丸水腫か、脱腸(鼠径ヘルニア)のように思えるのだが、一説に、彼は知性を象徴してる人物で、だから本を示し、男根もそれを象徴して理性的という意味で小さい包茎で示されている、と解釈されてもいるが、さてさて。

以上が右壁で、次に、奥の壁の脱衣籠図の下部が(上部に描かれていたはずの体位図は消失)、ローマ数字でX-XVI と、7つ描かれている。但し、描き方の方向が左上から右下となっていて、右壁とは違うのは若干私には違和感ある。

 おそらくこの調子だと、すべて消失してしまった左壁にも右壁同様に8つの衣類籠が描かれていたのかもしれないが、いずれにせよ、失われてしまった空間にどんな性的体位図が描かれていたことやら。日本ではその類いの体位48手と称しているようだが(その場合、男女は一対一であろうが)、ここで合計23手が描かれていたとすると、かなり壮観だったと思われる。

 しかし、最終的にすべて塗り込まれていたり、それ以前にも黒い太線で何ごとか描き直されている様子から察するに、この画題が利用者すべてから賛同を得ていたようには思えない節が感じられもする。部屋手前部分の茶色の格子模様との関連性の可能性にも気付かざるをえない。

【付録】さて、最初に示した平面図をご覧いただくと、この脱衣場「d」の外の壁沿いの右通路に沿って逆「く」の字型に階段が描かれている。そこを登ると崖を利用した二階に通じるのだが(崖の斜面を利用しているので、二階だからといってその下に一階があるわけではない)、そこがこの「郊外浴場」付設の売春宿だった(それがnと水色に塗られたo)。私はトイレつながりで許可を得て二階を訪問したことがある。そこは平面図で「n」の三角空間で、入口から入って左の壁に、例のトイレの神様のフォルトゥーナ女神が描かれていた。

右がトイレの入口から中を覗いた写真で、向かいの壁の右下に便座下の溝がみえる:左が件のフレスコ画

【2021/5/15のブログ参照】

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ローマの水

 画像チェックしていたら偶然1995年のサバティカル時の写真が出てきた。ローマに滞在したとき、しょっぱな何に驚いたかというと、お茶を飲もうと水道水を湯に沸かすととんでもない現象に出会ったことだ。湯に雪が降ったようになるのである。

白い粒子は言うまでもなく石灰である

 そしてこれは写真に撮ってはいないが、紅茶や緑茶の葉っぱやティバッグを入れると、湯が対流しているのが目視できる、あれはなんだろうか「かす」みたいなものが水中をぐるぐる回り、あろうことか湯の表面に虹色に光る金属膜みたいなものさえ。

 もちろん飲んでおいしいものではなかったので、母が持たせてくれた緑茶はすべて捨てた。そのあとで在伊が長い邦人に聞いた所によると、日本茶は、一度湧かした湯の上澄みをとって、それをも一度湧かし、その上澄みで淹れると飲めるようになるのだそうだ。・・・なるほど。

 それで体感的に、あの石灰分の多いイタリアの水に合うのがエスプレッソなんだろう、と思ったわけ。そうそう思い出した。アルル方面めざして鉄道でアルプスの西の国境を越えた所の、フランスのChambéry駅だったと記憶するが、深夜にそこの自販機でエスプレッソ飲んでみたが、すでに美味しくなかった。コクと香りがない。またスペインの東海岸を列車で南から北上していくにつれ、徐々にエスプレッソらしくなってきたのもいい体験だった。要するにエスプレッソの世界はアルプス山脈の南側なのであろう。

 そして、サバティカルの1年間、例のマッキネッタBialettiを使っていると内側に石灰の成分が付着して純白の膜がキラキラ光るようになる。それを帰国して日本の水道水で使っているとぬるっとしたきたない象牙色に澱んでくる。それを見ていると郷愁に駆られてしまっている自分がいる。

 日本では自宅での水道水はもとより、なぜかイタリア製のミネラル水でも、またどんな本格的なリストランテでもエスプレッソ飲んで美味しいと感じたことはない。すべては水なのだ。

【付論】では「紅茶文化」のイギリスの水はどうなのかと気になって、ちょっと調べてみたら、硬水の地区と軟水の地区に分かれていた(https://www.bristan.com/hard-water-map;https://japanesewriterinuk.com/article/water-in-uk.html)。

 なんと案に相違して、イングランドは硬水が主体の地区なのだ。ということは、そこでは紅茶はどうやって淹れていたのか・・・。答はどうやら葉っぱのブレンドと軟水の入手、にあったらしい(https://ringtons-japan.jp/hpgen/HPB/entries/39.html)。

 それで思い出した。大昔、ロンドンのホテルで部屋に置いてあったリプトンの一番安いティーバックを水道水で淹れて飲んだ紅茶のおいしかったこと! ブレンドがロンドンの水道水に合わせて調合されていたのだろう。それで感激して、そのティーバッグを日本に持って帰ったのだが、日本の軟水で淹れても再現できなかった理由もそこにある。だからイギリス直輸入の葉っぱを無自覚で飲んでいる限り、ひょっとすると思い出を飲んでいるだけのことなのかもしれない。味が違う!、というわけでミルクいれて流し込むのが落ちか(じゃあ、ヨーロッパ渡りの硬水のミネラル水で淹れたらどうだ、というとこれでもだめらしい。水に含まれる空気が重要で新鮮な「汲みたての水」でなければいけないらしい:これはイタリアのそれでエスプレッソ淹れても同じことでありんしたねえ、と納得)。すべては水なのだ。

 これは東京も広島もだが、嫁さんお好みで、百貨店の地下なんかで英国渡りのアフタヌーン・ティーなんかに行ったことあるが、スコーンやサンドイッチはともかく、ブラックティーがはそんなに抜群とは感じなかった。もともと私は紅茶が体質的に若干難があるので(妙な覚醒反応があるのだ)、ストレートではなくミルクでごまかす方なのだが。

 うちの嫁さん、大きな缶でイギリス紅茶をありがたく飲んでいるので、こんど軟水用のを買ってあげて男を上げようかな。

【後日談】日本の水でおいしいという触れ込みの「ヨークシャー」のリーフカートンとティーバックを試しに買った。試供品のティーバッグを試して見ると、気のせいかソフトな口当たりでいい感じなのだが、嫁さんは無反応。

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NHK BS4K プレミアム「最強の帝国ローマ」再放送

 2022/9/15(木)午後16:17-17:47の再放送を見ている。これは2021/1/25に初回放映され、何度か再放送されてきたものであるが、なかなかよくできている。ちょっとだけ旧来の臭さを感じさせるが(題名の「最強の帝国」なんて命名がまさしくそれである)、なにしろ、チュニジア、ロンドン、オーストリア、ドイツなどなどの最新の発掘情報満載で、随所で従来定説を覆している構成がいい。

 ここまで出来がいいと、制作NHKとなっているが、おそらくヨーロッパの制作をもとにしているのだろうと、つい思ってしまう私がいる。

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コイン上のカエサル像をめぐって

 先日の読書会で最近発見されたカエサル像や復元像を提示したら、参加者の中から、イメージがえらく違うといった反応があった。何ごとによらず英雄は後世理想化されて描かれやすく、見る側でも集合無意識的に英雄は美男美女であってほしい心理がなぜかあって、相乗して美化されがちである。いわば歴史による整形手術の施工である。

左、2008年ローヌ川底より出土、生前制作されたものと想定されている(あまりの異像にもちろん反論あり(1));中、Leiden国立古代博物館所蔵品のカエサル像;右、Leiden博物館所蔵品から2018年に公開復元されたカエサル像(2)
  • (1) Lorenz E.Baumer, Forme, fonction, identité ? Une approche du <César d’Arles>, dir. per Vassiliki Gaggadis-Robi et Pascale Picard, La sculpture romaine en Occident*Nouveaux regards.Actes de Rencontres autour de la sculpture romaine, 2012, Arles, 2016, pp.75-81.
  • (2) 当然別の復元例もある。cf., Amelia Carolina Sparavigna, A possible reconstruction of the face of Julius Caesar using a marble head from Smyrna conserved by the Rijksmuseum van Oudheden in Leiden, 2019/3/18(https://www.researchgate.net/publication/331833760

 そんな中で、あの時期、コイン上の肖像はかなり自然主義的に実像を反映しているといわれていることを知った(後代になると、すでにアウグストゥスで明らかなように、おおむね若振りに表現するようになったが)。それでちょっと調べてみた。意外と奥行きあるみのり多い内容であった。

 古代ローマにおいても、ブロンズ像や大理石像、蝋人形、カメオ、宝石、凱旋門などに、生前の人物の姿を飾る肖像画の伝統は長く続いていたが、ことコインに関しては、前44年にユリウス・カエサルがデナリウス貨幣に描かれるまで、ローマのコインには生身の人間の肖像画はなかった、と通説的に言われてきた。

 実は、カエサルはそれまで自分の名前を打刻した多くの貨幣を発行していたが、たしかに自分の肖像を描いた貨幣はなかった。

このような貨幣は、軍団兵に給金を払うべく戦地で随時打刻されていた。さてその権限はどうなっていたのやら。

 彼の肖像が登場するのは、彼が暗殺される前44年3月15日の直前3ヶ月の発行分のみなのである。以下がその一例。問題はこれがカエサルの指示によるものか、貨幣造幣三人官の権力者への忖度なのか。いずれにせよ、このような従来のローマ的伝統の一線を越えた行動が、彼の暗殺への動機とされてきたのだが、案外、下っ端の陣笠連中の突出行為が親分カエサルの命を危うくしたのかもしれない。

いずれも、独裁官ないし終身独裁官DICT PERPETVOと刻印されている:このあたりが本人の実像に近かったのでは

 ところが、以上は共和政ローマの国家貨幣製作についてであって、確認される最古のカエサルの肖像画コインは、前47/6年に、小アシア半島のビテュニアの都市ニカイアで打刻されたものだった。ローマからの旧領土奪回めざしたファルナケス2世Pharnaces II(ポントス・ボスポロス王、在位:前63-47年)がゼラの戦いでカエサルに敗れた(この時、カエサルの有名な言葉「来た、見た、勝った」Veni, vidi, vici が発せられた)。その戦勝を記念しての発行。

表面刻印:NIKAIEΩN、カエサル像、裏面:EΠI ΓAIOY OYIBIOY ΠANΣA(=Gaius Vibius Pansa)、右手に花冠、左手に棕櫚を持ったニケー、下部刻銘ϛΛΣは日付236(=前47/6年)

 裏面打刻のGaius Vibius Pansa Caetronianus(前43年没)は、カエサル派で、前47年にBithynia et Pontus属州総督(??:彼の執政官就任は前43年で、当時は法務官格なので、カエサル下でのlegatus職をこう表現したのか)、翌年ローマに帰国した人物なので、パンサの手配での属州都市打刻貨幣かと。

 実はもうひとつ、このコインの1年後の前45年に同じく小アシアのMysiaのLampsacus打刻都市貨幣があることを知った。それが以下である。

表面:月桂冠のカエサル像、裏面:神官が牡牛の鋤でポメリウムを掘っている。銘文には都市二人官の名前などが打刻されている。
   ⇧ Lampsacus    Nicaiaの位置↗

 ところで皮肉なもので、則を超えた生存者肖像掲載はカエサル横死ののちは反カエサル派=ポンペイウス派にとっても当たり前のこととなって、盛んに活用され出すのだが(もちろん伏流水としてカエサル同様先行例はあった)、それは別の機会があれば触れたいと思う(というか、この時代は私の射程外なのでもうないかもしれない)。それまで以下の著作が参考になるだろう。比佐篤『貨幣が語るローマ帝国史:権力と図像の千年』中公新書、2018年。但し私がここで言及したカエサル関係についてはなぜか触れられていないのだが。

【補遺】上記註(1)の論文にカエサルの肖像を種々の角度から撮った写真があるので、参考までにアップしておく。それにより、通常の単独胸像でないことは明白かと。やはり何ごとも表ばかりでなく裏も、上からも下からも見ないといけませんね。

Fig.5は下から、Fig.6は上から撮ったもの

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今度は中流階級の住居出土:ポンペイ

  継続発掘されているポンペイ近隣のCIVITA GIULIANAで、奴隷の部屋が出土したという報告があったが(2021/11/6:http://pompeiisites.org/en/comunicati/the-room-of-the-slaves-the-latest-discovery-at-civita-giuliana/)、今度はポンペイで、中流階級の家が発掘されたとの報告が、2021/8/6になされた。

 このところ継続的に発掘がなされているポンペイの第5地区で、2018年に豪華なララリウムの祠と驚くべきフレスコ画が出土した「魅惑の庭の邸宅」(https://www.pompeiiinpictures.com/pompeiiinpictures/R5/5%2003%2012.htm#lararium)の奥を掘っていたら、予想外に質素な部屋が4つ出てきた。発掘者たちはそれを中流ないし下層民の住居と断定した。例によって発掘地点は明示されていないが、V.3.12.13付近と思われる。

今回の質素は部屋は破線の凸部分付近と思われる

 従来豪華な邸宅に目がいっていた研究者たちも、最近は中・下層民や奴隷の日常生活に興味を持つようになってきていたが、そこに今回の発掘は絶好の傍証となったわけである。これらの部屋の壁は漆喰だが剥き出しで、床も土間のままだった(こういった部屋は従来もポンペイから出土していたはずだが、出土品も日常使いのものだったのでこれまでは美術的に無価値と断じられ蔑ろに扱われ、特に発掘初期には処分されてきていたのだろう:処分の内実とは、例によって闇市場に横流しされ、好事家やマニアの手に渡っていったことを含めてのこと)。

 ある部屋には、2000年間開けられなかった食器棚があり、中にはガラスの皿や陶器の鉢、花瓶などの食器がそのまま入っていた。別の部屋には、装飾品が残されたテーブル、ベッド、トランク型の箪笥があり、その中からみつかったものの中には、古代ギリシアの神ゼウスが鷲に変身した姿を描いた浮き彫りが施されたオイルランプがあった。

たぶん食器棚からの出土品:日常品のガラスや陶器の器類
この写真はたぶん「寝室」かと;右は上から部屋全体を俯瞰した写真
左写真の左側が、石膏で復元され蓋のない箪笥、右側が三脚の円卓:右写真、箪笥から出てきたオイルランプ

 以下も参照。https://karapaia.com/archives/52315493.html

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ポーランドの古代ローマ史本

 私のゼミ生で現在ポーランドに在住しているH君経由で、以前お願いしていたポーランド語の本が、彼が一時帰国したので、届けられた。新コロナの関係で郵送もままならず、送料もバカにならなくなるとのことで、一時帰国での持ち帰りをお願いしていたものだった。その書籍は以下。Andrzej Wypustek, Imperium Szamba ścieku i wychodka :Przyczynek do historii życia codziennego w starożytności, Warszawa, 2018, Pp.223.  だいたいの訳は「(ローマ)帝国の下水とトイレ:古代における日常生活」といったところか(ただしグーグル翻訳からの想定。古代ローマトイレ研究の先進国はオランダなので、これまでそっちは若干集めてきたが、ポーランド語はまあお愛嬌ということで)。

 今回なぜか売価が定価の半額で、H君の計算によると14.78zlで、昨日のレートで1円=00.35zlなので426.53円、日本での我が家への郵送料がゆうメールで310円だったので、まあ750円程度。確かにこれではポーランドからまともに送ってもらうと送料がかなりかかりそうである。

 紙装のB5版でこの値段なので、日本よりも圧倒的に安い、というか、なんで日本は本が高いのだろうか。装幀や紙質もかつての東ドイツに比べると普通にまともだし、15葉の白黒写真も挿入されている。問題は、註記・参考文献がなくて、その代わりにホメロスやアリストファネスなんかの原典引用は章節付きで本文中にポーランド語訳で掲載されてはいる。

 その本の所在を知ったのは、ポーランド人が管理者している古代ローマ史関係のWeb「IMPERIUM ROMANUM」をチェックしていて見つけたもの(https://imperiumromanum.quora.com/)。本当はもうひとつ、同じ著者による性生活がらみの本もヒットしたのだが、残念なことにそっちは2020年出版なのに既に売り切れ状況。どこでも皆さんの関心はご同様のようで。

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原爆死の兄をみつける:閲覧注意

 今日は長崎原爆忌。その2年後に広島で生まれた私の75歳の誕生日でもある。

 朝は映画「原爆の子」(1952年:96分)を再見した。そこで原爆ドームの落書きが出ているという情報あって、それを撮りたかったからだ。全部見直したのだが、唯一冒頭の字幕の背景がそれだったようだ。

 映画を見直していて気になったのは、最初、主演の乙羽信子は東京弁で、おやおやここでもかとがっかりしたのだが(監督の新藤兼人は市内から山一つ越えた石内出身の地元民だったので)、あとからちょこちょこ広島弁も使うようになったのはなぜ。

 日本映画専門チャンネルでは、今年、この映画の再放送を5回予定している。8/14(15:10-)、8/15(11:15-)、8/27(06:50-)、 9/1(07:00-)、9/13(07:00-):未見だったら是非ご覧下さい。ともかく被爆後7年目の広島が視認できる。

 そのあと、メールをチェックしていたら、色々収穫があったのでかなり時間を取ることになったのだが、その最後が朝日新聞の特集「核といのちを考える」第5回「そっと骨つぼに納めた写真:タブーだった兄と70年後の「再会」」(2022/8/9:https://digital.asahi.com/articles/ASQ813CLRQ7WPTIL014.html)だった。全文は有料。

 長崎のあの有名な黒焦げ少年の死体の身元が、2015年にこれまでにない大写しの写真をみた親族の妹たちによって兄ではと届出あり、翌年、専門家の復元調査によって可能性ありと鑑定された、というお話。私はこれまでそんなこと知らなかった。

谷崎昭治君 13歳で原爆死

【関連資料】こっちは広島。

 2022/7/29「兄に背負われた3歳の少年、77年越しの告白:「この写真は私です」」(https://digital.asahi.com/articles/ASQ7W6GBYQ7TPITB00Y.html):全文は有料・関連写真多数。これまで沈黙していた人がようやく口を開く。

広島市大手町で被爆:兄定男(11歳)さんに背負われた3歳の竹本秀雄さん

 RCC(中国放送)テレビ: 2022/8/6放映「それでも核兵器要りますか」(https://iraw.rcc.jp/play/videos/606609):

その冒頭と最後(44分40秒 から3分間)【見逃し配信期間:2022年8月6日 ~ 2023年8月31日】

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各国トイレ噺

Quoraで「今まで見た中で衝撃的だったトイレの画像を見せてください?」というお題が出たら、次々に投稿されて、2022/8/8現在で、回答数43が寄せられているようだ。

 ここでは、不快感なしの画像だけど、出るものも引っ込みかねない事例、と思しきものをご覧にいれます。

那智 桐 :ロシアのウラジオストク市内で使用した公衆トイレ。

掃除最優先のフルメタル便器です。5月上旬に旅行したのですが朝晩の気温は2〜3度!もちろん便座はキンキンに冷えていて心臓止まるかと思いました。冬は皆どうやって使っているのか本当に謎です。

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男性用携帯尿瓶、のお話

 遅ればせですが・・・、2016年情報です。「渋滞で尿意!でも大丈夫:息子スティックに取り付けるだけで尿をストックすることができる携帯尿瓶」(https://karapaia.com/archives/52218291.html)。

 以下がその紹介動画:https://www.youtube.com/watch?v=NP6_c4sJ8T4&t=11s

 以下がメーカーの動画:どうやら英国製で、一組£98.50もするが、洗浄して何回も利用できるらしい。登山家はじめ長時間トイレに行けない場合に便利です、という触れ込み。以前女性立ち小便を紹介したが、改造すればそちらにも試用可能かと。

https://www.customdivers.com/hewee-go-urination-systems-for-men-712-p.asp

 まず左写真のように着装し(大小で3組選択できる由)、次いで右写真のように、その先にホースを接続して太ももに固定したバッグに尿を溜める仕組みのようだ。

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ヒロシマとローマ関係落書き談議4題

冒頭の出演者テロップ部分

 私にとって、以下に共通するのは「落書き」なのである。①と④はそのものずばりだが、②と③はその映像の中で原爆ドームが出てきて、まだドームの廃墟の中に入れた時代に、訪れた観光客(アメリカ兵によるものが大半かと)によって多くの落書きが書かれていた画面が出てきている。そう、かつてそこでヒバクシャが自分を見世物にしていたり、商売をしていたのだった。

① 2022/8/4「ローマ、パンテオンの壁に「エイリアンは存在する」何者かが落書き」(https://karapaia.com/archives/52314873.html)

 パンテオン正面向かって右の壁に青いスプレーで「ALIENS EXIST」という文字と楕円形の物体2つが、7月末に書かれていた。これはどうやら当局により直ちに除去されたらしい。

左が落書き、右が消去作業中

② 2022/8/5:NHK BS1「イサム・ノグチ 幻の原爆慰霊碑」(https://artexhibition.jp/topics/news/20220805-AEJ922719/)

NHK BS1より:ノグチの背後の壁の落書きの全部が戦勝国米軍兵士のもののようだ

  8/6 9/00-9:50 再放送あり:戦前日本では異質な合いの子と蔑まれ、米国では敵性外人として遇され、戦後ニッポンでは何を好んでアメリカ人に慰霊碑作らせてたまるかと忌避されて・・・

③ 2022/8/9 11:10-(96分)日本映画専門チャンネル「原爆の子」(https://www.nihon-eiga.com/program/detail/nh00008058_0001.html)より 

冒頭の出演者テロップ:この画像は、後出の岩波写真文庫と同じ箇所
協力出演:賛美歌の場面でケロイドのある若い被爆女性も出演している

④ 2018/10/16:広島の平和公園付近での落書き事件:「原爆ドーム周辺、3カ所に落書き 器物損壊の疑いで捜査」(https://www.asahi.com/articles/ASLBJ33XXLBJPITB004.html)

 これはいずれも日本公演に訪れていた「ブルガリア国立歌劇団」の技術スタッフ2名が、キリル文字でブルガリアのサッカーチーム名などをスプレーで書いたものと判明。

左は工事中のフェンス、画面左中央に慰霊碑;中は石のベンチ、背景に原爆ドーム;右は韓国人慰霊碑付近のゴミ集積所

 それ以前も、それ以後も原爆ドームや慰霊碑等への落書きや毀損事件は絶えない(http://masuda901.web.fc2.com/page2ay22.html;https://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=106106)。

中国新聞 2021/6/25朝刊掲載

 それをググっているうちに、以下に行き当たった:http://nofootynolife.blog.fc2.com/blog-entry-3635.html。その中の書き込みで、場所はローマのコロッセオ。

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