食糧危機問題を考える

 少し前、昆虫食が話題となった。そもそも人類は農耕牧畜が定着する前にはありとあらゆるものを食の対象にして生きる雑食動物だった。もちろん昆虫も。そうしなければ生きていけなかったのだ。それが現在のようにごく限られた食物に依存するようになったのは、農耕牧畜以降のことで、それが都市生活においてスーパーなどでの流通野菜で一層限定化するなかで、選択肢が狭められて、食生活による人間家畜化すら叫ばれるようになっている。しかし、それにしたところで未だ世界全体では3億人以上が食料不安に直面している状況がある(https://ja.wfp.org/global-hunger-crisis)。

 そのうえここに来て、近未来の食糧難についての新刊がまたまた話題となっているようだ。髙橋五郎『食糧危機の未来年表』朝日新書、2023/10、¥979。曰く、「日本の食料自給率は38%──実際は18%でしかなかった! 有事における穀物支配国の動向やサプライチェーンの分断、先進国の食料争奪戦など、日本の食料安全保障は深刻な危機に直面している。… 先進国の「隠れ飢餓」という実態を暴く。」

 こういう危機を煽る書物はいつの時代にも出てくる。たとえば、1960年代末から80年代にかけて食品添加物がらみで多数の本を書いた郡司 篤孝を私も興味を持ってかなり読んだのだが、添加物のため日本人の平均寿命は数世代後には40歳台になると予想・警告していた記憶がある。私の世代が食品添加物にサラされて生きた1世代目なので、あれからまだ2世代もたっていないが、とにかくその予言ははずれてしまっているというわけで、今だと「闇雲に危険だ危険だとセンセーショナルに騒ぎたてているだけでナンセンスなのでおすすめしません」(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1460759344?query=郡司%20篤孝)と一刀両断に切り捨てられてしまっている。しかし悪徳業者がいるのは常識なので、すべてがウソだとは思わないのだが、まあ大袈裟なのである、というか人体のほうがそれなりに対応してきたようでもある。先日、解剖医のテレビドラマを見ながら妻がぼろっと言っていた。最近の死体は昔よりは腐敗しにくくなっている、どうやら食物で摂取してきた防腐剤のせいらしい、と。

 こういう問題を考える場合、昆虫食の道を探るとか肉資源への穀物投入を問題視するとか以前に(それも重要であるが)、実は耕地拡大で人類は大規模に自然破壊を促進させた挙げ句、現在は世界的に広大な放棄農地が存在している、といった視点も重要だと思わざるを得ない。むしろそこに現代社会の諸矛盾が集約的に表現されていると考えるからだ(https://dot.asahi.com/articles/-/204659?utm_source=yahoo_rss&utm_medium=referral&utm_campaign=yahoo_relatedLink)。

 ま、先のない私には関係ない話かもしれないが。だからというわけでもないが、明日あたり北海道からふるさと納税対象のホタテが届く。原発排水問題で中国や韓国が海産物を買わなくなり、苦境におちいっていると報道されているが、私の居住している範囲ではスーパーなんかから姿を消してしまっているので、同じ日本人でも商業ルート的には助けようとはしていないようで、ぐぐってみたらふるさと納税品でしかヒットしなかったせいでもある。せいぜい体内蓄積して盛大に火葬場に持っていこうと思っている。嫁さんも賛成してくれているのがありがたい。

 

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