荒木優太編著『在野研究ビギナーズ:勝手にはじめる研究生活』:新刊案内

明石書房、2019/9/6出版予定、¥1944。

 今日、自宅に送られてきた『UP』(東大出版会)の巻末広告にあって、目についた。表紙(または帯)に書かれている文言がなかなかよろしい。私も今や立派な在野である。彼らの生き残り術から学びたい。もう、そんなに生き残れそうもないけど。

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 その後、以下もみつけた。礫川全次 『独学で歴史家になる方法』日本実業出版社、2018/11、¥1944。

 こちらのほうが、私的には身近でずばりである。だが、試しに前任校の所蔵を検索したがなかった。日本民俗学者である著者の他の著書は37冊もあったのだが。彼の糞尿や厠関係は私も知っていたが、本書も図書館に所蔵すべきであろう。試しにCiNii Books検索をかけたら、わずか9大学しか所蔵していなかった。どういうことなのか。所蔵大学の歴史関係の教師は、さぞや自分に自信があるのだろう、と思ってしまう。さっそく古書で発注した。

【続報】礫川(こいしかわ、と読む)氏の本は、やっぱり読んでいてはなから私の金銭、もとえ琴線に触れてくる文言が多い。第3講「私が『在野史家』を名乗るまで」を読んで、いかに自分が「在野」的感覚の持ち主だったのか、改めて自覚させられてしまった。第2講の末尾で「アカデミズムにおける歴史研究には、一定の好み、傾向といったものが存在するようです。別の言い方をすれば、プロの研究者が、好んで扱わないテーマがあるということです」として、例に挙げているのが、かつての李家(りのいえ、と読む:彼、たしか呉の出身だったよね)正文氏の「厠」「落書き」なのだから、私としてはなにをかいわんや、なのである。そしてこの「アカデミズム」の研究者というのは、一時話題となった「原発ムラの住人」よろしく、ムラ内での受け狙いで一生終える類いの人たちのことで、一歩外に出て世間に発言しても(ま、上から目線なので、最初から説得する気はないのが普通だが)、説得力ゼロの論理しか展開できないそういう人種である。社会人の一般常識は彼らに通じない。歴史上まあ枚挙にいとまないが、最近の事例だと関西電力のお偉方ということになろうか。

 第4講「『研究者』としての自覚を持とう」でも以下の下りに出会った。「消費者で終わるな」とは現役時代私も繰り返して言っていた文言そのものだった。

 「歴史愛好家は、いわば「知の消費者」という立場で、歴史を楽しんでいるわけです。・・・歴史研究者として「知の創造」に関わろうとされる以上、歴史愛好家時代の「消費者」的な意識は、払拭していただかなくてはなりません。」

 欧米の研究の「消費者」で留まってはいけません、よね。○○先生!

【追記】このブログに2019/8/21に書いた二・二六事件がらみの箇所があって、意表を突いていてとても面白かった。第10講である。

 本書を読み進めていく内に、段々と、この本は文学部史学科の必読文献、いやいわゆる史学概論、歴史学研究入門といった授業のテキストになり得る、という確信が強まってきた(内容的には、特に日本史専攻ということになるだろうが、そう限ることもないだろう)。実にいい本だ。いわゆるアカデミックな研究者にこのレベルが書けないという体たらくを、私も元関係者として苦く噛みしめなければならない。

【追記2】彼のブログを知った。1949年生まれらしいので、私より2歳若い。精力的である。https://blog.goo.ne.jp/514303/e/8ef6b83ffb93979e06e03a103786c6ec

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 上記の荒木編著の本で知った以下の本が、わが図書室(である図書館)にあった。ポール・J・シルヴィア(高橋さきの訳)『できる研究者の論文生産術:どうすれば「たくさん」書けるのか』講談社、2015年。なぜか英語関係の棚だったので?だったが、言い回しの部分で英語表現がそのまま引用されているので、まあ納得。これはどうやら心理学の分野の著者のようだ。内容は、「いいわけはするな」と力説している最初を除いてあまり学ぶところはなかった。というか、ぴんとこない。やっぱり英語圏や心理学とは微妙に感覚がすれ違ってしっくりこないような気がする。同じ著者・翻訳者・出版社の『できる研究者の論文作成メソッド』は貸し出し中である。

 あれこれ検索していると、今度は医学系の先生の3部作もみつかった。これもわが図書室にそろいで所蔵されていた。よほどお悩みの同業者がいらっしゃるようだ。

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