遅報(9):エジプト人兵士のパピルス書簡解読

 1899年に、エジプトのファイユーム地方のTebtunisで、Bernard Grenfell とArthur Huntによって発見されていたパピルス文書をアメリカ・ライス大学の院生Grant Adamson君が2011年に解読し、2012年に公表した(Grant Adamson, Letter from Soldier in Pannonia, The Bulletin of the American Society of Papyrologists, Vol. 49 (2012), pp. 79-94)。この論文、自宅でググったらすぐさま入手できた。

 パピルスの書き手はAurelius Polionで、紀元後214年頃に筆無精な家族に宛てて愚痴を書いている。彼はパンノニア・インフェリオル(現在のハンガリー)に派遣されていた第2アディウトリクス軍団Legio II Adiutrix(本部駐屯地は今のブダベスト)所属の兵士と想定されている。Aureliusという名前からすると解放奴隷あがりのような気がするが、さて果たして正規の軍団兵だったのか、それとも補助軍兵士だったのか。カラカラ帝の全自由民へのローマ市民権付与は212年だったので、それ以降だと軍団兵だった可能性があることになり、また、書簡中に「執政官格(総督?)のπα[ρὰ] τοῦ ὑπατεικοῦ 許可をえて」なる文言があるので、その属州が執政官格属州となったのは214年以降だったこともあり、書簡発信年の上限を絞ることができる、とAdamson君は想定しているが、兵士が外出許可を求めるのは軍団司令官のほうのはずで、はたしてそう言えるのだろうか、若干疑問。とまれ、庶民の生活証言の残存史料で貴重である。こういったパピルス史料に正面から立ち向かった研究(たとえ欧米の研究の紹介にせよ)の進展を期待せざるをえない。

興味ある方は以下をご覧下さい。

https://news.rice.edu/2014/03/14/rice-grad-student-deciphers-1800-year-old-letter-from-egyptian-soldier/

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