こんな文言を見つけた。
英ケンブリッジ大教授メアリー・ビアードに聞く:「古代ローマ」から現代人は何を学べるのか?

https://courrier.jp/news/archives/272504/?utm_source=article_link&utm_medium=photolink&utm_campaign=articleid_338615
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毒にも薬にもならないお遊戯なのだから、そこまで目くじらを立てることもないと思
われるかもしれません。でも、私には古代ローマは次の二点で重要なのです。
ひとつめは、私たちが特定の立場に肩入れすることなく、集団生活、政治、搾取につ
いて議論できる安全な場を提供してくれることです。
ネロがキリスト教徒を残虐に殺した話をしても、遠い昔の話ですから現代のキリスト
教徒の心を傷つけることはありません。奴隷制や帝国運営についても考えることができ
ます。
古代ローマは、私たちとは無関係の世界と言えばいいでしょうか。あまりにも昔の話
なので、その頃の話をしても誰も傷つけなくてすむのです。言ってみれば、古代ローマ
が話題なら、頭に血が上ることなく冷静に話し合えるのです。
ローマ史が重要であるふたつめの点は、自分の価値観の外に出るのを助けてくれるこ
とです。私にとってローマとは、人を搾取する残虐な帝国でした。
でも、この冷酷無惨な巨大帝国の内側を見ていくと、その起源が移民や亡命者の受け
入れにあり、帝国がひっきりなしに外国人を自分たちのなかに組み込んでいった歴史も
見えてきます。
そういったことを知って自分が抱いていた思い込みが少し剥がれたりすることもある
のです。
ということで、彼女の本を読んでみたくなった。主著の翻訳はあるが、これまで扱っている時代が前期帝政期までだったので、敬遠してきたのだが。とりあえずは、ebookで読める以下かな。

宮﨑真紀訳『舌を抜かれる女たち』晶文社、2020年。
「抜かれる」ではなく「抜かれた」じゃないかと疑問に思い、見てみた原タイトルは”Women & Power”だった。えらく違う邦訳だ。それにしても冒頭の『オデュッセイア』からの引用は、面白かったというか、大昔読んだときに全然気付かなかった。
「母上、今は部屋に戻って,糸巻きと機織りというご自分の仕事をなさってください・・・ 人前で話をするのは男たちみなの仕事、とりわけ私の仕事です。」
ビアードのすごい所は、それがなんと現代イギリスでも「議会から仕事場までさまざまな政治的な場において女性は黙らされて」いると喝破していることだ。こういう鋭い指摘が抜けていてゆるい叙述が蔓延しているのがわが祖国のような気がする。ま、これも私の読書歴が浅薄ということかもしれないし、同胞女性がおやりになればやたらバタ臭くて忌避するかもであるが。時代感覚と距離感のなせる技か。
【追記】最後の最後での最後っ屁には心底彼女の覚悟の程を感じさせられてしまった。

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