石破さんと改革の理想に燃えた時 敗れていま猫に重ねる政治の原点
2025年12月16日 朝日新聞:但し有料記事。
政治改革と青雲の志をもって国会議員になって、直面したのが、派閥の現実。
「新人議員を集めた派閥の勉強会のことは今でも忘れられません。僕は、父と同じ清和会に入りました。当時の領袖(りょうしゅう)は安倍晋太郎さんで、講師役は、後に首相になった有力政治家ですが、最初に教わったのは『出席した会合に有名人が来ていたら、体を寄せて秘書に写真を撮らせなさい』。二つ目は『届いたお中元やお歳暮は、中身を確認したら包み直して選挙民に配りなさい』。それから、『秘書や事務員を雇うのは大変だろうけど、統一教会が無給で提供してくれるから何人でも申請しなさい』。とんでもない話だと僕は部屋を飛び出しましたが、有力政治家が追いかけてきて『人が話している最中に失礼だろう』と叱責(しっせき)された。期待に胸を膨らませて政界入りしたのに、涙が出るほど悲しかったです」
「当選2回の時、小泉純一郎さんから、お前のような青臭いやつは国対でもまれてこいと言われ、国会対策副委員長に就き、日本政治の『裏』を見ました。野党の社会党とは鋭く対立しているように国民に見せかけて、実は仲良くがっちり握っている。各省庁からは毎晩のように料亭で接待されました。『今度の国会には○○法案を出します。うちのエースの○○課長が担当ですからよしなに』『地元の陳情は全部引き受けますから何なりと』。そんなことを1年もこなすと、次は好きなポストを得ることができる。自民党は機会平等。当選回数に応じたルートが確立していたんです」
「政官財がもたれあい、政治腐敗の温床になっている。これを何としても壊さねばならず、小選挙区制はダイナマイトとして使える――。僕なりの『目撃者責任』の果たし方でした」・・・しかし・・・
――小選挙区比例代表並立制は導入され、政権交代も起きました。しかし、日本政治が良くなったとは到底言えない。むしろ悪くなったのでは?
「それは、改革が中途半端だったからでしょう。たとえば政党の政治活動を支えるために導入された、国民ひとりあたり年250円を原資とする総額300億円以上の政党交付金制度は本来、企業・団体献金の廃止とセットだったはずです。なのに今も続き、高市早苗首相は国会で『廃止とセットだとの約束があったとは認識していない』。開いた口がふさがりません」

コメント 0 件