月: 2025年6月

大山古墳出土の副葬品再発見

 「おおやま古墳って奈良にあるのかな」。こんなレベルで毎日新聞2025/6/19のメール記事を読み始めた。実際は「大山古墳」は「だいせん」と読み、我らの世代だと大阪府堺市にある旧名「仁徳天皇陵」のほうが馴染みがある。https://mainichi.jp/articles/20250619/k00/00m/040/108000c?utm_source=article&utm_medium=email&utm_campaign=mailsokuho

 なんとその天皇陵から明治初年に発掘・流出した副葬品(刀子と甲冑の破片)が再発見された、というのである。それらは、国学院大が2024年に購入した明治時代の古物収集家、柏木貨一郎(1841~98年)の遺品から発見された。いずれも和紙に包まれた状態で、刀子を包んでいた紙には「明治五年九月」「仁徳帝御陵前之石郭」「刀鐺(かたなこじり)」、甲冑片を包んでいた方には「仁徳帝御陵」「甲冑金具」などと墨書されていた。

 寡聞にして知らなかった好古家・柏木貨一郎についてはウィキペディアに略記があり、役人の時期もあった由で、こういう立場の者がご禁制の出土品を実は隠匿・収集していたわけである。彼の事故死に繫がる下駄が法隆寺の古材であったなどは、歴然とした自己撞着といわざるを得ないが、ともかく世に出て公的機関に所蔵されたことは慶賀の至りというべきか。

 私の研究分野でも、ローマで聞いた話であるが、某国外交官がカタコンベから持ち出した遺物を外交行李に入れて自国に持ち出し、コレクションにして、得々として訪問客に見せていたと。なんだかいやなのは、私だってもしそのようなチャンスがあれば、悪魔のささやきに身を任せていただろうと思うかれである。

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愚帝によって最終戦争間近?

 とんでもない大統領のおかげで人類は破綻の際に追いやられている。困ったものだが、いずれ生物たる人類だって終末の時を迎える必然は、世の習いというべきか。

 2025/6/16「報復が報復を呼ぶ…イラン・イスラエル全面戦争の可能性も」https://wedge.ismedia.jp/articles/-/37944

 最近核心に触れているように思う情勢分析しているCOURRIER Japanに、「米国はいま、トランプ政権下で史上最大のタックスヘイブンに変貌している」が掲載されたのは、2025/6/17だった。これは「世界の賢人の視点」という特集の中で、ノーベル経済学賞の受賞者、ジョセフ・スティグリッツの指摘である。https://courrier.jp/news/archives/403540/?utm_source=follow+item+paid+announce&utm_medium=email&utm_content=post-403540&utm_campaign=2025-06-17-15691&courrier_mail_session_id=15691

 それにしたって、人類存続を前提にしているが、ま、人類が滅亡するのだったら、論じる事自体が無駄というものだろうから、仕方ない。

 皇帝の岩盤支持層の福音派は、キリスト再臨のハルマゲドンを喜んで待望しているわけで、非福音派の我らはとんだとばっちりとなりかねないが、人類なんてそれほど愚かな存在なんだからしょうがいない。

【補遺】

◎ 2025/6/18:「イスラエルとイランの戦争で「利益を得る者たち」」https://www.mag2.com/p/news/647329?utm_medium=email&utm_source=mag_W000000001_wed&utm_campaign=mag_W000000001_20250618

◎ 2025/6/19:「プーチンや金正恩すらしないトランプの“恥ずべき行為”」https://www.mag2.com/p/news/647410?utm_medium=email&utm_source=mag_W000000001_thu&utm_campaign=mag_W000000001_20250619

◎ 茶番の上塗りで、はたして乗り切れるだろうか。

https://wedge.ismedia.jp/articles/-/38044

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結婚・出産とコロナ騒ぎ

「空白の3年間」出生数が過去最少となった必然」(https://toyokeizai.net/articles/-/883218?utm_source=morning-mail&utm_medium=email&utm_campaign=2025-06-12&utm_content=1&bdmlc=MTAwMjM3XzMwMzE1XzIzNDI0OTRfMQ&bdl=3

 先頃公表された2024年の人口動態概数年報であるが、マスコミが「人口減」と煽るばかりで実態分析が欠けているとして、なかなかの力作のように、私には思えた。

 ま、いずれにしても、日本の人口動態は先行き不安要因ではあるが、この狭い国土にこれまで1億2,3千万いたというほうが驚嘆ものかもしれない(誤解なきよう付言するが、江戸時代は3000万程度だったらしい)。日本と同じくらいの国土をもつのは、ドイツ、ノルウェー、フィンランドらしいが、それらの現代の人口は、それぞれ8300万、550万、560万といったところ、まあ北欧はそんなものとして、比較の対象となるのはどいつだろうが、18世紀半ばの想定人口が1500万程度だったというのは面白い。いずれにせよ、日本の人口は多かったのである。

 それで思いだしたのは、近世ポルトガルのこと。小国だったのでスペインなんかと違い、植民地を支配することは最初から諦めていたのだそうだ。なんと人口230万! 同じ18世紀半ばにスペインは1000万。となると、イギリスやフランスのことも知りたくなる。イングランド、ウェールズ、スコットランドまとめて1900万と、かなりの大国だったわけ。ちなみに国土は日本の3分の2程度でそれほどいたわけだ。フランスは人口2500万、本土面積だけで日本の1.5倍と堂々たる大国だった。

 歴史での国の盛衰をこうした国土と人口的視点からみると意外と相関関係があるように思えて面白い、と思いませんか。

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ロシア・ウクライナ問題の宗教的裏事情

https://ml.asahi.com/p/000004c215/30465/body/pc.html

2025/6/11 朝日新聞記者レター

 駒木明義「バチカンを切り捨てたロシア:ウクライナ問題の背景に複雑な宗教事情」

 以下、本論部分のみ転載:

 ウクライナ危機の背景には、米国主導の北大西洋条約機構(NATO)の拡大といった安全保障面だけでなく、歴史と宗教をめぐる根深い問題があります。最近、この事実を改めて思い出させるできごとがありました。それは、ロシアとウクライナの直接協議の開催場所をめぐる駆け引きです。 5月8日に新ローマ教皇となったレオ14世は、ロシアとウクライナの仲介に意欲を表明しています。これを受けて、今年2回目以降の協議がバチカンで開かれるのでは、という観測が広がりました。ロシアとウクライナの交渉仲介にレオ14世が意欲 トランプ氏は後退 ところがロシアのラブロフ外相は5月23日、モスクワで開かれたシンポジウムの壇上で、このアイデアをばっさり切り捨てました。 「この場に教皇庁の代表はいるだろうか。現実的ではない選択肢を考えるために無駄な努力をするなと言いたい。正教の国同士が、根本原因の除去についての問題をカトリックの地で協議するのは、品が良いとは言えないだろう」 ラブロフ氏の言葉通り、ロシアもウクライナも多くの国民が、キリスト教の宗派「東方正教会」を信仰しています。そしてロシアの正教会は、長くカトリックと厳しく対立してきました。正教のつながりを理由の一つとしてウクライナとの一体化を進めようとするロシアにとって、バチカンほど協議の場としてふさわしくない選択肢はないのです。 歴史をさかのぼると、ロシア、ウクライナ、ベラルーシという東スラブ3国の源流となったのは、現在のウクライナの首都キーウを中心に9世紀に成立した大国、キーウ・ルーシ公国です。10世紀末、公国を率いるウラジーミル大公がキリスト教を国教として受け入れ、広く信仰が広がりました。 公国は13世紀にモンゴルの侵攻を受けて崩壊。その後、キーウに代わってモスクワが東スラブの中心都市として栄えるようになります。 プーチン氏はこうした歴史を踏まえて、ロシア、ウクライナ、ベラルーシは一体不可分の存在だという主張を繰り返しています。

 プーチン氏は2016年、モスクワ中心部のクレムリン近くに、ウラジーミル大公の巨大な像を建立しました。ロシアが公国の正統な後継国家であることを誇示する狙いでしょう。それだけでなくプーチン氏は、自身の名が伝説的な大公と同じウラジーミルであることも意識しているはずです。 歴史の話に戻ると、カトリックと東方正教会が、主として教義上の理由から分裂したのは11世紀のことでした。その後、ロシアは正教世界の中心を自任するようになります。そんなロシアにとってカトリックは、同じキリスト教という親近感の対象ではなく、むしろ「敵」という位置づけでした。「西方からの脅威」だったカトリック そのことを浮き彫りにした歴史の一場面があります。 1598年のことです。ロシアで「雷帝」として知られるイワン4世の三男フョードル1世が死去。ウラジーミル大公の直系でつないできた王朝の系譜「リューリク朝」が断絶しました。 大混乱に陥ったロシアに、死んだはずのイワン雷帝の末子ドミトリーを自称する男が現れます。彼は民衆の支持を得てモスクワに攻め上り、ついにはクレムリンに入城して戴冠(たいかん)式まで行いました。「偽ドミトリー1世」です。 このとき偽ドミトリーの権力奪取を支えたのが、カトリックの国ポーランドであり、ポーランドを拠点に正教徒へのカトリック布教を進めていたイエズス会でした。この歴史は、ムソルグスキーの傑作オペラ「ボリス・ゴドゥノフ」でもいきいきと描かれており、ロシアで知らない人はいないでしょう。 つまり端的に言えば、カトリックとは、ロシアの混乱に乗じて攻め入り、正教世界を乗っ取ろうとする西方からの脅威だったわけです。 カトリックは特にウクライナとの関係で、さらに複雑な問題を抱えています。それは、ウクライナ西部を中心に今も多くの信者がいる東方典礼カトリック教会(ギリシャ・カトリック)の存在です。 この教会の特色は、儀式などでは正教会の伝統的な典礼を維持しつつ、ローマ教皇の権威やカトリックの教義を受け入れたことにあります。イエズス会の働きかけなどを受けて、16世紀末に生まれました。その後18世紀にロシア帝国領に組み込まれた地域では、正教の裏切り者として、厳しく弾圧されました。 ラブロフ氏も前述のシンポジウムで、東方典礼カトリック教会に触れて「(2014年の)クーデター後のウクライナの現体制を積極的に支えている」と批判しました。本来は正教世界の一部なのに西方の権威にひれ伏したという意味で、ロシア離れを進めるウクライナの現政権に重なる許しがたい存在なのです。

 もっとも、ウクライナの伝統的な正教会の多くも、近年はロシアからの自立を進めています。そのことも忘れるべきではないでしょう。 ウクライナ問題の背景の複雑さの一端を説明できたでしょうか。この問題の宗教的な側面を知るには、元駐ウクライナ大使の角茂樹さんの著書が、とても役に立ちます。

 (著者に会いたい)『ウクライナ侵攻とロシア正教会』 角茂樹さん

https://digital.asahi.com/articles/DA3S15445644.html?linkType=article&id=DA3S15445644&ref=komakiakiyoshi_mail_top_20250611

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