ヴェーヌへの書評が眼にとまり

 ポーランドのウェブ「News from world of ancient Rome17/06/23」がメールで送られてきて、それを見ていたら、今さらであるが、「Review: When Our World Became Christian: 312 – 394」が眼にとまった(https://imperiumromanum.pl/en/reviews/review-when-our-world-became-christian-312-394/)。

 私はこの2007年出版のヴェーヌの著作の邦訳が2010年に岩波書店から出た機会に、書評を依頼されて書いたことあり(『西洋史学論集』50、2013/3、pp.154-157)、そこでヴェーヌの才気には敬意を表しつつも、稚拙な言説が見受けられたので、まああれこれ酷評したことがあったので(それ以前に眼にとまっていたAmazon読者の手放しの高評価は素人さんだからしょうがないがーーと一応言ってみるが、そのレベルが大手を振っているわけ:だいぶ経って行ってみたらものの見事に消去されていて、へ〜状態ーー、我が国碩学たち?の、ヴェーヌの意図を誤読しての提灯記事に辟易していたこともあったからだったが(著者の著述意図を翻訳者が誤った先入見・刷り込みに引きづられて訳すと、微妙なニュアンスを軒並み誤読・誤訳して、読者にとって理解しづらい文体となる):抜き刷りを書店編集部に送ったのだが、受領返信もなかったのに驚きもしなかったけど、とても失礼なんじゃないかな:それ以前から感じていた編集者のレベル低下を実感したものだ)、さてポーランドではどう読まれているのだろうと興味を持ったわけである。

 短い新刊紹介なので、大枠では評価しつつ、だが「フランスの知識人の間では例外ではない、政治的な「赤」への傾倒を示す独自の信念を持っていることは理解できるが、それが科学的な研究分析にそれほど強い影響を及ぼしてはならないと思う。私が問題だと思うのは、記述された状況において、著者の政治的シンパシーが過去の事実の解釈の一部に強くバイアスをかけ、その結果、彼の仕事の科学的側面が損なわれていることである」といかにもポーランド的体験に基づいた批判眼を示しており、ヴェーヌは「まだ外国語に翻訳されていないAleksander Krawczuk教授の著作に見られるような客観性を羨むべきだ」と、辛辣であったのは、ちょっと違うんだけど、なるほどなと思ったことだ。

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