また発掘報告書も数冊出版されているが、最新の研究としては以下がある。Andrea Camilli, Le navi antiche di Pisa, Pacini Editore, Seconda edizione 2021. 後進の参入を期待している。
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1998年、Pisa San Rossore駅の近くで、ピサの海運の歴史を塗り替えることになる、驚くべき考古学的遺産が偶然発見された。
「航海することは必要だが、生きることは必要ではない(navigare necesse est, vivere non est necesse)」という、大ポンペイウスが荒れ狂う海へ向かうよう水夫たちを鼓舞した言葉は、今でもよく知られている。時を経て、この言葉はハンザ同盟のモットーとして、あるいはイタリアの作家Gabriele D’Annunzio(1863-1938)によって英雄的行為を揶揄する文脈で引用されるなど、幾度となく使われてきた。より一般的には、古代ローマにおいて海運が軍事と商業という二重の機能を担い、いかに重要であったかを示すためにこの言葉が引用される。当時の国家、経済、社会、そして組織体制を支える力として海運が存在したことは、海底から多数の難破船が発見されていることからも裏付けられている。それらは、悪天候下であっても乗組員が海に出ざるを得なかった状況を物語っている。しかし、こうした劇的かつ不幸な出来事は、私たちにとっては幸運なことでもある。それらは、海洋考古学や水中考古学を通じて、過去の文明に関する豊富な情報を知る機会を与えてくれるからだ。
この画期的な発見により、古代の航行における河川・海洋システムから、交易、集団間の交流、そして何世紀にもわたるピサの役割に至るまで、多岐にわたるトピックに関する知見を深めることが可能になった(そして今後も可能であり続けるだろう)。 出土品の多くは現在、ピサ古代船博物館(Museo delle Navi Antiche di Pisa)の魅力的な展示コースの一部となっている。同館は2019年より、かつてのメディチ家の造船所(Arsenali Medicei)を拠点としている。この施設は、古代から現代に至るまで、このトスカーナの都市と海・海運との密接なつながりという「時の軌跡」を再現するものである。それにより、あの象徴的な「ピサの斜塔」を擁する中世の都市という側面だけには到底収まりきらない、この地域のより複雑で豊かな歴史物語が明らかになっている。
図10:船 Aから出土した木製錨(紀元2世紀)
出典– Jacopo Suggi – La flotta riemersa. Storia dello straordinario ritrovamento delle navi antiche di Pisa (2024年7月23日) Finestre sull’Arte
【補遺】それで思いだしたのだが、ローマからピサ行きの鉄道地方線を使って、チビタベッキアのかなり手前のサンタ・セヴェラ駅で下車して南西に向かって歩き、アウレリア街道(現国道1線)に出て Monumento naturale di Pyrgi の表示で一本道をさらに南南西に歩いて海岸に出ると、そこに中世の城と集落があって、「海と古代航行博物館」Museo del Mare e della Navigazione Antica がある。こじんまりとした規模であるが、その内容の充実度は高かったのが印象的だった。