ローマ皇帝フィリップス・アラプス像のシリア紙幣

 古代ローマ皇帝フィリップス・アラプス掲載紙幣をちょっと探す気になって。彼は知る人ぞ知る「最初のキリスト教皇帝」で、私の学位論文の中心テーマだった。

 1987年から翌年にかけて発行された100シリア・ポンド紙幣。表面にボスラのローマ式劇場とローマ皇帝フィリップス・アラプス、裏面にはヒジャーズ鉄道とヒジャーズ駅が描かれている。さっそく実物を入手しようとしたが(この収集癖、つくづく懲りない性格というか・・・)、現在品切れのようだ。ここではウェッブで表裏の写真を拾ってきたのでメモ的に掲載しておく。

【追記】本日2024/6/12調べたらYahoo!オークションで、郵送費込みで¥864で一枚新札を確保できた。なんとまあ簡単に入手できるいい時代である。

 彼は古代ローマ時代以来「アラブ人フィリップス」と表記されるが、後期ローマ帝国の属州「アラビア」は、シリアからイスラエルの背後の東部で、州都をBostraとしていたので(現シリアのボスラ:だから紙幣の彼の左側にボスラのローマ式劇場遺跡[建設年代は2世紀初頭であるが、オーケストラは半円形でないので、ギリシア的影響を受けているようだ]も描かれている)、シリア(・アラブ共和国)の紙幣になってもなんら不思議ではないわけなのである。

 ちなみに関連で、フィリップス・アラプスと同年に発行された500シリア・ポンド大型紙幣には、パルミラの女王ゼノビア(267年頃から274年頃まで権力掌握)の肖像が描かれている(その左にはパルミラ遺跡:裏面は、タブカ・ダムとトラクターによる灌漑)。彼女はオアシス都市パルミラを拠点として3世紀第三四半期に隆盛を誇ったのだが、ググってみるとこの紙幣、郵送料込みでも¥6600もするので、年金生活者としてはとりあえずパス。彼女の方がフィリップスよりも高額紙幣なのは、まあなんとなく納得。

パルミラ分離王国最大版図

【その後紙幣は2009年に新画像で発行されているので、上記の紙幣が現在も通用するかどうかは不明。というのは国によって新札発行後一定期間過ぎると旧札は通用しなくなる場合もある。私はイタリアでこの手段で使用できない旧札をお釣りでつかまされたことがナポリであった。ま、得がたい資料として保存しているが:ところでこういった教材諸資料、どなたかに譲る時期に来ているような気がする】

【追伸:同じYahoo!オークションで、500ポンドと同じ人物から郵送料込みで¥1014で購入できそう。この価格落差はなんでしょうね】

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