ノートルダム大聖堂火災:ケルトとイスラームとゴシックと:飛耳長目(8)

 ノートルダム大聖堂火災に関連して、興味深い記事が飛び込んできた。 http://miu.ismedia.jp/r/c.do?134G_kmC_1RO_sds  
 
 とりあえず、無料読者登録をすると読めるはずです。  
 私にとってのキモは、「ゴシック」という西欧美術史的な命名は、その実「イスラーム」というのが事実であって、今回消失した大聖堂はイスラーム的建築技術を取り入れた西欧での最初の建築物だった、という点にある。  
 換言するなら、美術史においていかにもヨーロッパ建築史的見地で表現されてきたその内実は、実は先進文明圏イスラームの建築技術のパクリだったというわけ。
 これは専門家には周知の事なのでしょうが、私のような素人には新情報で、だがさもありなんとたいへん斬新な指摘でした。
 ところが、イスラム無視は自称専門家の通弊でもあるようで、たとえば、酒井健『ゴシックとは何か:大聖堂の精神史』講談社現代新書、2001(ちくま学芸文庫、2006)は、そのケルト的源泉に触れているのはいいとして、アマゾンのレビューで「建築技術の発展はイスラーム文明の流入(12世紀ルネサンス)に負うこと等もほとんど記述が無い(12世紀ルネサンスについてはスコラ学のところで触れているにもかかわらず)。完全に精神史に焦点を当てたはいいがそれで全て説明しようとしているところは,危うい」と書かれてしまっているところを見ると、無知は専門家にも蔓延しているようだ。
 一言でばっさり言ってしまうと、自分の立ち位置への見直しなしに、西欧のプロパガンダの口車に乗っかって、訳知り顔に精神史やってたら駄目でっせ、というあたりかと。自戒せねば、とつくづく思う。
  
 また、これには続きがあって、この建物から始まったもののもうひとつに「ドレミ」の和音があるそうで、それは続稿の課題だそうです。こっちも読むのが楽しみです。

【補遺】音楽の件の記事は、以下です。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56155?pd=all

【追記】私はこの火事を知った時、反射的に新手のテロではと疑ったが、その立場のウェブ記事がようやく出てきた。ま、眞相はまだ藪の中ではあるが、私が反キリスト教の過激派ムスリムだったらやっちゃうだろうな、と思う。
 https://i.mag2.jp/r?aid=a5cd4f08dd2068

【追伸2】2019/7/15発の世界キリスト教情報 第1486信に以下が。「ヘルメット姿で行われたミサを伝えるAFP通信ペレ記者」

       ご感想やご意見はこちらまで:k-toyota@ca2.so-net.ne.jp

Filed under: ブログ

コメント 0 件


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Comment *
Name *
Email *
Website

CAPTCHA