久しぶりのGrand、そこ出土の石碑

 文献検索していたら、偶然以下に行き当たった。M. Michel Bouvier, Une nouvelle interprétation des stèles de Grand (Vosges), Bulletin de la Société nationale des Antiquaires de France,  Année 2012,  2006  pp. 267-282.

 その冒頭を読んで気付いた。おお、あのグランではないか。「グラン(ヴォージュ県Vosges)にある人口500人の小さな村である。しかし、ローマ時代には大都市であり、部分的に修復された1万7000席の円形闘技場、城壁、350㎡の巨大なモザイク画を収めたバシリカ、そして無数の地下水道など、かつての壮麗さを物語る重要な証拠を誇っていた」。かの論文は、その村の円形闘技場へ続く道沿いで1841年に発見された「いわゆるメディトリナの石碑」Stèle dite de Meditrinaについて、フェリックス・ヴーロ Félix Voulotによってアスクレピオスの娘であるメディトリナ神la divinité Meditrinaを表わすものと同定されたものを再検討するものである。

 このグランはかつて温泉治療場として名を馳せていて、コンスタンティヌス大帝もここで神託を得たと伝えられているので、アスクレピオス関連のものが出てきても一向に不思議ではないのである。

 だがその後、この石鹸、菓子、チーズ、あるいはより有力な説としてビールの製造を司る女神という説も提唱されてきたが、著者の言に依ると、いずれも根拠薄弱だそうで、さてそんな中でどんな新説を提出しているのか、読むのが楽しみである。

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