ああ、切りがない:トイレ研究

 どこかで読んだ論文の註に出版予定とされていて、しかし調べたらまだ出版されてなくて、いつの間にか失念していた論文集が、出版されていた。

Ed.by G.Jansen, A.O.Koloski-Ostrow, R.Neudecker, Sixty-Six Toilets and Urinals in the Ancient City of Rome: Sanitary, Urbanistic, and Social Agency, Peeters, Leuven, 2024, Pp.334.

 現在のレートで郵送費を含めて2万円を超えるのだが、この論文集はテーマ的にローマ市がらみの66箇所のトイレ関係遺跡に触れ、全体で40弱の論文からなっているし、その中に常々これまで私が注目していた遺跡も含まれていたとなると、年金生活者とはいえ購入せざるを得ないわけで、嬉しい反面、リタイア後で研究費がない現状をついかこちたくもなる。

 目次をみて目に飛び込んできたのは「19-21. Urinals of the Colosseum (pp. 61-66) 」で、筆者はElisa Cella と Gemma Jansen。冒頭の19-21はトイレ遺跡の数なので、コロッセウムには3箇所トイレがあるというわけなのだろう。実は私はこれまで、五万人内外の収容者数を誇るこの建造物にトイレがないわけはない、という観点から、観光客が見ることができる箇所は繰り返し見てきたし、地下構造のツアーにも参加してきたが、いわゆるローマトイレ構造を見つけることができず、中世から現代までの長い歴史の間にトイレ設備は解体されてしまったのでは、との仮説をたてざるを得なかった。その際、思いついていたのは、たしか南仏のニームの円形闘技場の通路の内縁の壁沿いに、おそらく男性の立ちション用の便器(オスティアでのを拡大した感じ)を目視した記憶があるのだが、それと同じものがコロッセオにもあったのでは、そしてそれが後の時代に取り外されてしまい、だから今探してもみあたらないのでは、というわけである。

こんな楕円形の通路の右側にあったりする

 この仮説、チン説がこの論文集ではどのように扱われているか、それだけでも興味あるのであるが、ただページ数は6ページに過ぎないので、そう期待はできないかもではあるが、しかし・・・。というわけで発注したのである。到着は来月中旬のようであるが、さてその結果は投資額に見合うものであってほしいものである。

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