月: 2025年8月

8月ジャーナリズムの基本的問題点:降伏日はいつか

 我ら日本人にとっては、なぜか8月15日が終戦記念日となっているが、これは日本人特有のお盆との関連性を持たせる思考方法であって、玉音放送は無条件降伏を国民に知らせたものに過ぎなかったわけである。ここからがむつかしいことになるが、国際法上は、9/2の戦艦ミズーリ甲板上での降伏文書署名が正式のものとされるわけである。

 よって「対日勝利記念日」を9/2あたりを、後付けにせよ、ロシアや中華人民共和国がしているのも一理あることになる。となると、それまで対日戦闘を継続していたことへのソ連軍の免罪符としても利用されえるわけである。

 その一方で、米軍の平和裡の進駐は、昭和20年8月30日、厚木飛行場(大和市、綾瀬市)に、連合国軍最高司令官、マッカーサー元帥が降り立ったときだった。8/15から約二週間の準備期間を経て、9/2直前の進駐であった。

 同様の問題は、ナチス・ドイツの降伏においても生じていたようである。ドイツ時間とソ連時間の時差の問題があって、より複雑だったらしい。

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発掘注目記事:シチリア、ポンペイ、エジプト

◎シシリア島のVilla Romana del Casaleの遺跡から新たに浴場用サンダルのモザイクが出土:https://news.artnet.com/art-world/flip-flops-mosaic-villa-romana-del-casale-2677238

 これまでもちらほら見つかっていたモザイク画ではあるが。今回そのそばから銘文モザイク「Treptona bibas」も出土。「Treptonaよ、汝は飲む」といったところか。

◎フレグレイ平野を襲った群発地震でPompeiiの「南集合住宅街」insula-meridionalisの壁崩壊:https://www.finestresullarte.info/en/archaeology/pompeii-a-wall-collapses-in-the-insula-meridionalis-during-the-phlegraean-fields-earthquake-swarm

 昨年訪問したときに、あれこれ修復していた場所である。それが1980年の地震がらみであることを今回初めて知った。この区域は港湾設備との関連で今後注目されるはずなので、いずれ詳しく触れたい箇所である。

オレンジ色の1,4,5,6にかけての、舌状台地の最南端部分。その昔、緑地帯がサルノ川ラグーンだったはず。

◎ローマ兵のつば広サンハット修復:https://www.thehistoryblog.com/archives/73883

 現代に通じる日よけ・砂よけで、その大きさから、おそらく兜の上から被ったのだろう。現存するものはこれを含めて三点だけの由。

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最近のCNNによる古代ローマ関係報道

 遅ればせながら、知人より連絡あって新たな情報源=CNNのOdd Newsその他、を知った。あまりにありすぎて、ひとつひとつ詳報することができない。若干重複情報も含め、ここ半年の注目記事を列挙する。私的には最初の三番目と最後のものに注目している。とりわけ前者にはいつか触れたいと考えている。

◎ローマ中心部に広大な地下空間 知られざるトンネル網、来年末にも観光客に公開へ:https://www.cnn.co.jp/travel/35235933.html

◎ポンペイの住民、最期の状況が新たに判明 家具を使って寝室封鎖も逃げられず:https://www.cnn.co.jp/fringe/35233101.html

◎火山噴火で灰に埋もれたポンペイ、住民が帰還していた その暮らしぶりも明らかに:https://www.cnn.co.jp/fringe/35236786.html

これまで後4世紀作成の「ポイティンガー図Tabula Peutingeriana に、後1世紀には消滅していたはずのポンペイがPompeisとして明記されているという従来の謎も、これにて一件落着かも。となると、考古学者が想定しているような廃墟での貧民層居住というよりは、も少しまともな都市構成だったのかも。

◎ローマ時代の「教会」、シナゴーグだった可能性 スペイン南部:https://www.cnn.co.jp/fringe/35236158.html

◎ハドリアヌスの長城近くで見つかった巨大な靴、古代ローマの兵士をめぐる謎が深まる:https://www.cnn.co.jp/fringe/35235463.html

◎1800年間粉々で埋もれていたローマ時代の巨大なフレスコ画、再構築に成功:https://www.cnn.co.jp/fringe/35234525.html

◎筆跡をAIで分析、死海文書がこれまで考えられていたより古い可能性 新研究:https://www.cnn.co.jp/fringe/35234023.html

◎エルサレムで2300年前の黄金の指輪、2個目を発見 ヘレニズム期の解釈に新視点:https://www.cnn.co.jp/fringe/35233762.html

◎千年以上前に埋められたアングロ・サクソン時代の謎の容器、考古学者らが中身を解明:https://www.cnn.co.jp/fringe/35233592.html

◎エルコラーノで2000年前の噴火で炭化した古代巻物、著者と題名が判明:https://www.cnn.co.jp/fringe/35232664.html

◎ローマ軍兵士の集団墓地が物語る、戦場での軍勢崩壊の惨状:https://www.cnn.co.jp/fringe/35231403.html

◎オスティアで古代ローマの沐浴場を発見、当時のユダヤ人の生活に光当てる:https://www.cnn.co.jp/fringe/35230468.html

◎ローマ帝国崩壊、原因はマラリア? 遺骨のDNAで原虫特定:https://www.cnn.co.jp/fringe/35093294.html

◎中世の修道士、「寄生虫まみれだった」 英研究:https://www.cnn.co.jp/fringe/35192121.html

◎若い男性の脳がガラスに変化、ベスビオ火山噴火の超高温にさらされた過程を解明:https://www.cnn.co.jp/fringe/35229924.html

◎炭化した2000年前の巻物、最初の解読部分に「むかつき」意味する言葉:https://www.cnn.co.jp/fringe/35229190.html

◎ベスビオ火山噴火で炭化した巻物、文章を初めて解読 断層撮影やAI駆使:https://www.cnn.co.jp/fringe/35215020.html

◎ポンペイに豪華な浴場施設、考古学者らが発見:https://www.cnn.co.jp/fringe/35228420.html

◎数千年前に行われたストーンヘンジの再建、科学者らが理由を解明:https://www.cnn.co.jp/fringe/35227630.html

◎ドイツで見つかった銀の護符、欧州のキリスト教史書き換える可能性:https://www.cnn.co.jp/fringe/35227572.html

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最近のクリスチャン・トゥデイ:牧師を辞めた理由

https://www.christiantoday.co.jp/articles/35072/20250822/reasons-former-pastors-exit-their-ministry.htm

 アメリカでの元牧師730人を対象にオンラインでの調査結果。

 回答者の40%が「召命の変化」、

 18%が「教会内の対立」、

 16%が「燃え尽き症候群」、

他には、「家庭の問題」(10%)、「個人的な財政事情」(10%)、「病気」(6%)、「教会との相性不一致」(6%)、「教団の問題」(4%)、「新型コロナウイルスのロックダウンによる教会閉鎖」(3%)など。

 ただし、別の調査(英語)によると、牧師の離職率は、プロテスタント全体で1・1%とかなり低く、牧師を辞める人が多いわけではない由。

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性被害:禅宗でもご同様なようで

 最近めったに外出しないせいか、たまたま下校時に駅などで女子生徒に遭遇すると、彼女たちのナマ足に思わず目が吸い付けられてしまうことがある。これはもう、オスとしての動物的本能の自然の反応のように思うのだが・・・。私はこの夏に満で齡78になったのだが、以下の話題でつい想起したのが久米の仙人の故事であった。

「「手が下半身に…」曹洞宗大本山永平寺の修行僧が合宿中の女子高生20人にワイセツ・性加害…寺側は「真に恥ずかしく申し訳ない」」https://shueisha.online/articles/-/254892?utm_campaign=shueishaonline_mail_20250822.1&utm_content=text&utm_medium=email&utm_source=shueishaonline_mail

 これした若い修行僧、本山を放逐されたようだが、こんなこと書くと叩かれる御時世ではあるが、敢えて言う。被害者たちの尻さわった程度らしいのが、なんだか哀れである。そしてつい思う。彼だけではあるまいに、マスコミ・ネタになっちゃってと。

 ところで、久米仙人の話の救いは、単なる人間になって東大寺建立の夫役に従事していたとき一念発起して、一週間の修行で再び神通力を獲得した、という後日談が付け加えられていることだ。敗者復活が容認されているのはいいことだ。

【閑話休題】久米寺というのが奈良にあるというので、ググってみたら、オイオイ、奈良旅行で歩いたことのある飛鳥寺から西の橿原神宮前駅のそばではないか。次の機会あれば「煩悩よ、去れ」とばかりにお参りせねばなるまい。

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本年8月中旬帰郷での劣化状況

 十日間ほど墓参をかねて、いやむしろ草取りのため帰省していた。出発も帰着も昼間だったのでやたらの猛暑で辟易したが、広島の明け方はすでになんとなくひんやりとして、さりげなく秋の気配を感じさせてくれていた。でもって、草取りは昼日中だとすぐに一息つかないとダメなのに、日の出前の早朝だと平気なのは、空気がらみなんだろうか。

 玄関前の花壇が、植えたように雑草が同じ高さで茂っていたのが、これまで見たことなく奇妙だった。しかも引っ張ると面白いようにごっそり取れるのである。

 練馬とはいえ東京ではなぜか空を見上げる気も起こらないわけで、広島ではスッキリ青い空をなぜか見上げて、おっとりした時間の経過を感じることができた。これが田舎のいいところなのだろう。

 だが、西広島駅で列車に乗るといやおうなく留守の実家の安全が気になってくるのも、いつものこととはいえ、築40年超えなので、漏電とか気になってしまうのである。

 今回の帰省で、最初実家にたどり着いたとき、ウォシュレット・トイレ便座の抜いてあったコンセントを入れたら、その直後からイカを焼いたような腐ったような強烈な臭いが感知されて、ギョッとした。その直前までは芳香剤の香りだったのに。連休明けに業者にも来てもらったが、そのころは臭いも抜けていたせいか、別段のことなしとなったが、電源入れたときにショートしたのだろうか。銅線コードのビニールが焼けたような臭いといえばそんな気もするが、そういう形跡も見当たらなかったので未だもって不可解である。ときあたかも、練馬の自宅マンションのトイレが水漏れしたとかで、嫁さんから修理に30万かかると連絡あった。そっちは20数年で、こっちは40数年の年代物。もちろん今回も帰京するときコンセントを抜いたし、いつものように電源盤で可能なかぎりオフにしておいた(冷蔵庫があるので一階電源だけは切れない)。

 テレビは線状洪水帯とか集中豪雨の報道の同じ内容の繰り返しでうるさかったが、我が実家はさしたることなく、ちょっと雨が降ったくらいで、いつもながら大袈裟な報道であった。どういう根拠か知らないが、雨も降っていない西区に大雨警報・雷注意報なんてお笑いぐさだ。もっとピンポイントでなきゃ、誰も信用しないだろうに。まあ草むしりにはいいお湿りだったというべきか。

 あと、いつも東京から持参していた携帯WiFiの調子が悪く、一日後にはメールの画面も白紙となって使えない。これも何が原因なのか不明である。WiFiからすぐに電源が空になるので、バッテリーの劣化だろうか。私にはありとあらゆる事が劣化に思える今日この頃。

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ウクライナ戦争決着? トランプ、それでノーベル平和賞?

 吞気な我がマスコミはまだ周辺をうろうろやっているが(ないし、うろうろしてみせているが:例えばもこんな調子:https://wedge.ismedia.jp/articles/-/38638?utm_source=newsletter&utm_medium=email&utm_campaign=20250821)、アラスカ会議でもう既にウクライナ戦争は露側の勝利で決したとの観測が出ている。

https://tanakanews.com/250819ukrain.htm

 書き手の田中宇はかなりの曲者的論拠を開示する人物だが、さて今後の推移はどうなっていくだろう。彼のいいところは自分の分析の誤りを糊塗せずに正直に訂正してみせるところだ。その技で先見の明を誇っているともいえる。

 国際政治は世人の意表をつく場面が時々ある。ニクソンの対中政策の転換などそうだ。我が祖国はいつでも後追いばかりで、外交的分析においてはるかに遅れを取ってばかりだ。我が国の外交官には先見の明など鼻っからないのだろう。インテリジェンス欠如というか語学コンプレックスの裏返しの分析能力欠如という民族的宿痾というしかない。

 さて、今回がそういう事態なのか、どうか興味津々。

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第二次世界大戦中にドイツ国防軍大尉が盗んだモザイク画、ポンペイに返還

2025年7月15日

 ローマ時代のエロティックなテーマを描いたトラバーチンの板に描かれたモザイク画が、第二次世界大戦中にドイツ将校によって盗まれた後、火曜日にポンペイ遺跡公園に返還された。このモザイク画には、裸の恋人たちが描かれている。男性はベッドかソファに寄りかかり、女性は鑑賞者に背を向けて立っている。

このモザイクは、オプス・ベルミキュラートゥム opus vermiculatum 技法で制作されている。これは、小さなテッセラを波打つ線で敷き詰めた人物モザイクで(ヴェルミキュラートゥムは「虫のような」という意味で、このタイプのモザイクは、主にエンブレマタ emblemata と呼ばれる最も精巧な細工が施されたパネルに用いられた。それは、オプス・テッセラトゥム opus tessellatum 技法でより大きなテッセラを用いて描かれた、精巧で幾何学的な花のモチーフで囲まれているのが通常だった。

 このモザイク画は、最後の所有者である故ドイツ市民の相続人から返還された後、ドイツのシュトゥットガルトにあるイタリア領事館の手配で、外交ルートを通じてドイツから返還された。所有者は、戦時中イタリアで軍需品供給部に配属されていたドイツ国防軍大尉から、このモザイク画を贈られていた。

 専門家によると、このモザイク画は紀元前2世紀から紀元1世紀にかけて制作された。ポンペイ考古学公園は、このモザイク画は寝室 cubiculae を飾っていた可能性があると発表した。【そう、古代ローマの邸宅では、夫婦の寝室の壁にこの手の絵画がよくあるのである。見やすいところではローマのマッシモ宮殿最上階のD室だっけには、最初は恥じらっていた(そう装っていた?)新婚を経ての女性のマトローナ的な性的成長?らしきものが見てとれるのであ〜る】

 ドイツから返還された恋人たちの姿を描いたローマ時代のモザイク画が、2025年7月15日(火)、ポンペイ遺跡公園の講堂で報道陣に公開された。「家庭愛というテーマが芸術の主題です」と、ポンペイ遺跡公園長で、返還作品に関するエッセイの共著者ガブリエル・ツフトリーゲル Gabriel Zuchtriegel氏は述べた。「紀元前4世紀から1世紀にかけてのヘレニズム時代は、神話や英雄たちの情熱を称えていましたが、今、私たちは新たなテーマを目にしています。」

ドイツの最後の所有者の相続人たちは、調査を担当していたローマの文化遺産保護機関カラビニエリに連絡を取り、モザイク画をイタリア政府に返還する方法について情報を求めた。当局はモザイクの真贋と由来を確定するために必要な調査を行い、2023年9月に返還に向けて作業を進めた。カラビニエリによると、ポンペイ考古学公園との協力も重要な役割を果たした。発見時の状況に関するデータが不足していたにもかかわらず、ベスビオ火山付近まで遡ることができた。その後、パネルはポンペイ考古学公園に移送され、適切な目録が作成された後、保護され、教育および研究目的で利用されることになる。写真はガラスカバーで覆われたタイルの展示の様子。集まった人々は、このタイルを鑑賞し、写真を撮ることができた。

2025年7月15日(火)、イタリアのポンペイ遺跡公園で、修復作業員らがドイツから返還された恋人たちのローマ時代のモザイク画を展示した。

 「今日の返還は、開いた傷を癒すようなものです」とツフトリーゲル氏は述べ、所有者の相続人による返還が「(盗まれた美術品の)所有感が重荷になる」という「精神」の重要な変化を示していることを強調した。「ポンペイの遺物を持ち帰るために、たった一つの石を盗んだかもしれない人々から、多くの手紙が届くのを見れば、そのことがよく分かります」とツフトリーゲル氏は述べた。ポンペイ考古学公園がソーシャルメディアに投稿した写真には、モザイクが警察に引き渡され、その後展示される様子が写っている。ツフトリーゲル氏は、ポンペイで遺物を盗んだ者に降りかかるとされる、いわゆる「ポンペイの呪い」について言及した。世界的に有名なこの伝説は、古代都市ポンペイから出土品を盗んだ者は不運や不幸に見舞われるとされている。長年にわたり、盗まれた品々が不運をもたらし、悲劇的な出来事を引き起こしたと主張して返却する観光客が増えていることから、この伝説はますます広まっている。

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