帝国主義はいつも同じ

 テレビで映画「クーデター」(2015年米国)をみた。その中でピアース・ブロスナン演ずる正体不明の男がこんなことを言っていた。「欧米企業はこの国を食い物にしている。まず俺が友好的に現れる。インフラ構築のための貸し付けを申し出る。彼らには払えない額だ。次に発電所、水道、道路を造る。何だってかまわない。借金が払えなくなったら、乗っ取りだ」。

 かつてタキトゥスは『アグリコラ』21で、ローマ帝国が野蛮人を手なずける手立てを大略以下のように述べている。まず軍事力で十分に恐怖の念を植え付け、その一方で寛容政策で平和の魅力を教示する。そうするとそれまでローマに対等な意識をもって振る舞っていた多くの部族も、人質を送ってよこすようになる。この連中にさらに快適な生活を味あわせ、公的な援助をして、インフラを整備させ、酋長の子弟に教養学課を学ばせ、他の部族より優秀だとおだてると、これまでラテン語を拒否していた者まで熱心に学びはじめる。こうしてローマの服装さえも尊重されるようになる。それから人々を悪徳へと誘うもの、例えば逍遙柱廊、浴場、優雅な饗宴にふけさせる。何も知らない原住民は、これを文明開化と呼んでいたが、実は奴隷化を示すひとつの特色でしかなかった、と。

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