NHKスペシャル「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」

 2022年の今年も8月に入って敗戦記念日がらみの放送が始まる。NHK総合でも夜中の1時頃からを含めて数回の放送が予定されている。

 表記の番組は2022/8/2早朝の3時16分からの1時間番組だった。副題は「果てしない戦線拡大の悲劇」。アナウンサーに松平定知が登場していることからもわかるように、2011年1月に放映されたものの再放送と思われるが、未だ一見の価値ある内容に感じた。私はこういう番組は11年前にも見逃さず見たはずなのだが、まったくその記憶がないのはどうしたことか。

 今回、私的にもっとも興味深かったのは、大陸(陸軍)や南方(海軍)への戦線拡大を、日本の企業はビジネスチャンスととらえていて、占領地が利権の狩り場となり、有象無象の輩が中央官庁・軍部はもとより、現地占領軍でも「つて」をたどって跳梁跋扈していたこと、軍部もそこできちんと利害調整するよりも、「あそこはすでに〇〇が入り込んでいるから、××占領の際に△△鉱山を任すからどうだ」と、さらなる無謀な戦線拡大に向かうこととなった、という指摘であった。

 通常の敗戦論では、軍部上層の無定見な戦争指揮ばかり指摘されてきた印象が強いが、新利権に群がって沸き立っていた政商や山師たちと出先軍部の結託(なんと、海軍と陸軍で占領地での利権の区割りがなされていたとは:軍部にとっては、目先の上納金以外にも、天下り先の確保という意味もあった)、というまあ現代でも絶えることなく生じ続けている、いつに変わらぬ政・官・民の談合・癒着体質そのままだったようで、国を挙げて戦争継続・拡大に暴走していった挙げ句の敗戦だった、という点を正しく認識し強調した制作で、勉強になった。

 なお、この放送内容に関して書籍がNHK出版から出版されている。私は古書で廉価の新潮文庫の3冊本を入手し、今夏の読書にしようと思っている。

NHKスペシャル取材班編著『日本人はなぜ戦争へと向かったのか:果てしなき戦線拡大編』新潮文庫, 2015, p.47.

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