「里の秋」:痴呆への一里塚(41)

 さっきNHK BS4Kで、童謡「里の秋」が1945年12月にラジオ放送された、出征から未帰還の父を偲んで母子家庭を歌ったもの、と初めて知った。一番しか私は記憶になかったからだろう。クリは代用食だったのだろうと思うと、わびしさひとしおである。

  静かな静かな 里の秋
  お背戸に木の実の 落ちる夜は
  ああ 母さんとただ二人
  栗の実 煮てます いろりばた

  明るい明るい 星の空
  鳴き鳴き夜鴨(よがも)の 渡る夜は
  ああ 父さんのあの笑顔
  栗の実 食べては 思い出す

  さよならさよなら 椰子(やし)の島
  お舟にゆられて 帰られる
  ああ(注) 父さんよ御無事(ごぶじ)でと
  今夜も 母さんと 祈ります

 私の幼い最奥の記憶には、汗ばむ夏の夜長に、布団の上で流しっぱなしのラジオでの「尋ね人の時間」を耳にしていた印象が残っている。あるいは秋の明るい夕方の光の中で。『ウィキペディア(Wikipedia)』には「ラバウル航空隊に昭和19年3月まで居たと伝え聞く○○さん、××県の△△さんがお捜しです」といった文言が記録されているが、そんな調子だった。

 1962(昭和37)年まで続けられ、依頼総数2万弱、うち⅓の人が捜し出した由なので、同内容が繰り返し繰り返し放送され、1947年生まれの私も15年間聴いていたことになる。だから脳裏に焼き付いていたのだろう。

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