巨大恐竜発見のお話:飛耳長目(50)

 夕食後に眠ってしまい、目が覚めて起き出したのが7/30午前0時前だった。で、NHKBSプレミアムカフェで1998年放映の「巨大恐竜の化石をさがせ:スーの冒険」を偶然見ることになった。

 1990年に化石ハンター(要するに発掘品の売買を商売にしている人)が、サウスダコダ州の荒れ地で地主に金を払って発掘していたのだが、もともとダイバーだったスーザン・ヘンドリクソンが発掘最終日に予定外の場所で偶然見つけたものが(妙なもので最終日とか、目的外のものが偶然出てくるとか、こういうジンクスは現場でよくあることらしい)、6700万年前のティラノサウルスの90%以上のほぼ完全骨格だった。これまではせいぜい40%くらいだったから、前例のない大発見だった。この化石は発見者の女性の綽名から「スー」と名付けられ、地主に5000ドル払って発掘した地元の化石業者が当然購入したつもりが、その価値を知った地主が欲をこいて、そこに州なんかもしゃしゃり出てきて(地主がネイティブ・アメリカンだったので、土地がネイティブの居留地で不当に奪われないように州の信託物件とされていたという特殊事情)ごちゃごちゃの裁判沙汰になり(みな欲得なんだ)、結局、発掘業者側がボロボロの敗訴。その後、NYのサザビー・オークションに出品され、なんと860万ドルで落札されて(当時の価値で、10億円!)、1997年以来シカゴの博物館に所蔵されることになった。そんなお金出す人がいるんだ、と二度ビックリ。ところでその金は誰の懐に入ったのだろうか。

https://wired.jp/2014/12/23/dinosaur-13-clip/(捻れた頭部だけはレプリカで、本物は別所展示)

 ウェブに載っていた裏話として、折あたかも日本がバブル景気だったので、国外に流出するのではという危機感で、マクドナルドやディズニーなんかが束になって出資者となり、落札に成功したらしい。日本には2005年にレプリカでやって来たとのこと。

 最初の放映から20年、あそこでもっともらしく言われていた解説も、その後の研究でだいぶ修正されているようだが(ここでも、最初想定されたロマンは無残に崩れている)、まあ一発屋の宝探しとはいえ、発掘者が見つけたときの感激「6700万年もの間、私がみつけるのを待っていてくれていた」は、私にも十分分かるような気がする。

http://www.dino-pantheon.com/shoppingbasket/shoppingbasket_10.html

 その顛末は、以下に書かれている由。ピーター・ラーソン、クリスティン・ドナン著(冨田幸光監修・池田比佐子訳)『スー:史上最大のティラノサウルス発掘』朝日新聞社、2005年。わが図書館にはない・・・ので、さて・・・。

【追記】蛍光ペンでの書き込みがあるので格安だった古本を入手した。「その6年前、私が二一歳の時に始めたビジネスをもとに、・・・会社を組織したばかりの時期だった。ぎりぎりの経営状態で、なんとか収支を合わせるために、私は化学分析の仕事を続け、YMCAでプール掃除をし、チーズ工場でチュダーチーズをプレスにかけ、墓地で草掘りをした」(p.71)。好きな道を歩むということは、決して楽なことではない。換言すると、好きだからこそ耐えることができるわけ、ね。

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